現実を直視すれば、台湾を国際社会が認める主権国家に出来る
アジア安保フォーラム幹事 宗像隆幸
馬英九総統は『世界』十一月号のインタビューで、「中華民国は当然ながら独立した主権を有する国家ですし、中国大陸も私たち中華民国の領土です。私たちは中華民国の領土の上にもう一つの国家が存在することを承認することはできません」と語っている。李登輝政権と陳水扁政権は中国大陸に中華人民共和国(中国)が存在している現実を認めたが、馬総統はこれを否定して、蒋介石・蒋経国時代の虚構に戻ってしまったのである。中国は台湾への武力行使の可能性があることを公言して国際社会から批判されてきたが、馬総統は中国大陸も中華民国の領土だと主張することによって中国の台湾に対する武力攻撃を正当化してしまったのだ。馬総統は「現実を直視しなければならない」と強調しながら、現実を全く無視したのである。
なぜ台湾は国連から追放されて国際社会で孤立することになったのか、まずこの現実を直視しなければ、台湾が国際社会に復帰する道は開けない。一九七一年十月二十五日、国連総会は、台湾問題の決議には三分の二以上の多数を必要とする「重要事項」指定決議案を反対多数で否決し、続いて「中華人民共和国の代表が国連における中国の唯一の合法的代表であることを承認し、蒋介石の代表を国連と全ての関連組織から直ちに追放する」という第二七五八号決議案を可決した。中華民国の代表団は、「重要事項」指定案が否決されたので総会から退場し、第二七五八決議案が可決された後、「追放を待たず、我々は国連のあらゆる機関から、自発的に脱退する」と声明した。この声明は追放が決定された後に出されたにもかかわらず、台湾ではこの現実を無視して今でも「脱退した」と言われている。
第二七五八号決議が「中華民国の追放」ではなく、「蒋介石の代表を追放する」としたのは、中華民国はすでに主権国家としての資格を失い、「中華民国の代表」を名乗っているのは、蒋介石を領袖とする亡命政権の代表と見做されたからだ。もし、中華民国が主権国家として認められていたら、国連加盟国の追放には安全保障理事会の勧告が必要だから(国連憲章第六条)、中華民国の追放に反対していた米国が安保理で拒否権を行使するだけで、中華民国は追放されなかったのである。国連憲章には現在も「中華民国は安全保障理事会の常任理事国である」と書かれたままなのに、中華人民共和国がその地位を占めているのは、中華民国はすでに滅亡しており、その全ての権利は中華人民共和国に継承されたと見做されたからである。台湾に中華民国という名称の国家が存在しているのに、それが主権国家として認められなかったのは、台湾は中華民国の領土ではないからである。日本はサンフランシスコ平和条約で台湾を放棄したが、その帰属は決定されなかったので、台湾の国際法上の地位は未定なのだ。
台湾の国際法上の地位を決定するのは、台湾人民だけが持っている権利である。人民自決の権利は、国連憲章や植民地独立付与宣言、国際人権規約などによって、全人類に認められた最も基本的な人権だからである。国連によって中華民国は主権国家ではないと認定された現実を直視して、人民自決権を行使すれば、台湾の国際法上の地位を決定出来るのだ。
例えば、「台湾は我々台湾人民の国家であり、その国名は台湾とする」ことを公民投票で決定するか、あるいはその文書に台湾人民の圧倒的多数が賛成署名を行えば、国際社会は台湾を主権国家として認めなければならないのである。
(二〇〇八年一〇月)
台湾の声:http://www.emaga.com/info/3407.html
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