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  • 2008年10月13日月曜日

    「台湾の声」【連載】 日本よ、こんな中国とつきあえるか(26)

    【連載】 日本よ、こんな中国とつきあえるか(26)
        台湾人医師の直言

    (転送転載自由)

    出版 並木書房(2006年7月)
    著者 林 建良

    http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%88%E3%80%81%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%A8%E3%81%A4%E3%81%8D%E3%81%82%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%8B-%E6%9E%97-%E5%BB%BA%E8%89%AF/dp/4890632018/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1208414945&sr=8-1


    第4章 悪の元凶・中国帝国主義はこう潰せ!
           
       真実を中国人に教えれば中国は内部崩壊する


    4,中国のデータを検証せよ!

    ●中国情報をどこから入手するか?

     中国は日本の隣国である以上、どのような国であるかを知らなくてはならない。また、日本にとって中国は最大の貿易国であり、二〇〇〇社にも上るの日本企業が進出している。さらに前述したように、中国は「東アジア共同体」を作ろうとしている。それに参画するとなると、利益の共有だけではなく、リスクの共有もしなければならなくなるからである。

     このような状況のなかで、中国がいち早く要求してくるのは情報の共有と考えてよい。だからこそ「東アジア・シンクタンク・ネットワーク」(NEAT)を作ろうと提案しているのである。

     しかし、日本にはアメリカのCIA(米中央情報局)のような国家としての情報機関を持っていない。内閣調査室はあるが、他国の国家機密の探索や情報収集、政治工作までおこなう各国の情報機関に比べてあまりにも規模が小さく、その能力には限界がある。

     そうなると、中国に関する情報や知識をどこで得るかと言えば、三つのルートが考えられる。一つ目はマスコミ、二つ目は日本国内の中国人学者や日本人中国研究者、三つ目は中国政府が発表するデータである。

     しかし、マスコミについていえば、日本は国交正常化以前の一九六四(昭和三九)年に中国と「日中記者交換協定」を結んでいる。日本のマスコミには次の三つの制約が課されていて、それは現在もつづいている。

    (1)中国を敵視しない。
    (2)二つの中国を造る陰謀に加わらない。
    (3)日中国交正常化を妨げない。

     二つ目の裏の意味は「台湾の独立を図る陰謀に加わらない」ということだ。つまり、中国の国益に害をもたらすと判断された場合は、たとえばかつて日本経済新聞社の鮫島敬治記者が二年間も投獄されたように、監禁の憂き目にも遭う。これは、中国の国益を害するような記事を書いたと判断されたからだった。ともかく、この三条件を厳守しない場合には、中国に支社を置き記者を常駐させることも禁じられているのである。

     このような制約が課されているうえに、中国は日本のマスコミの中国報道を綿密かつ執拗に検閲しており、内容が気に入らないとなればすぐに抗議してくる。また、日本の中国特派員の間では電話の盗聴や尾行されることは当たり前のこととして認識されているという。だから、知っていても書けないし、自主規制することも出てくる。当然ながら、中国のあらゆる情報を外部へ伝えることは不可能と言ってよい。

     では、二番目の中国人学者はどうかというと、日本にいる中国人学者は中国の宣伝機関の意向に沿って発言していると見た方がよい。彼らは全員、中国の御用学者である。日本のマスコミでさえ言論の自由を制限されているのである。彼らはいずれ中国に帰らなければならないのだから、推して知るべしである。

     日本人の中国研究者はどうかと言えば、その情報ソースはほぼマスコミと同じか、中国が発表した情報でしかない。自分で調査するといってもせいぜい都市部までであって、農村部にまでは入り込めない。中国の七〇パーセント以上が農村部に住む人々であり、七〇パーセント以上の実態を日本人は知らないというのが実態なのである。

     中国は今や押しも押されもしない大国になりつつある。経済力はもちろん、国連安保理の常任理事国であり、核ミサイルを備えた軍事力も侮れない。このような巨大な国家と付き合っていくためには、当然、相手に関する正しい情報に基づいて判断していくことが求められる。情報だけが頼りと言っても過言ではない。情報がなければ、それは目隠しをして戦うようなものだ。

     では、日本以外の、たとえば台湾やアメリカはどのようにして中国情報を得ているかというと、台湾もアメリカも中国に少なくない諜報員(工作員)を派遣して、情報の収集にあたっている。このような情報収集はロシアであれフランスであれ、どこでもやっていることである。相手の存在が大きければ大きいほど、重要であればあるほど、正確な情報に基づく政策を立てなければならないのだから、当たり前と言えばこれほど当たり前のこともないのである。

     しかし日本の場合は、中国の垂れ流した、あるいは中国の検閲を経たマスコミ情報や、中国政府発表のデータに基づいている。それは日本には他国のような情報機関がないのだから致し方ないが、重要なことは、そのような情報ではあっても、きちんと検証しているかどうかである。もし検証せずに中国側が発表するデータを鵜呑みにしているのだとしたら、日本は自らを危険地帯に追い込んでいると言ってよい。

    ●中国が発表する情報は正確か?

     ここで、中国の情報はどれくらい正確なのかを検証してみたい。
     中国の四大国営銀行が多大な不良債権を抱えていることはつとに指摘されてきたところだが、中国政府が二〇〇四年一一月に発表した数字によると、二〇〇四年三月末で融資総額の一九パーセントを占めていた不良債権は、六カ月後の九月に五・一六パーセントまで下がったというのである。

     しかし、これは誰が見ても信じがたい数字で、おかしな下がり方である。日本も一時期、銀行の不良債権問題で苦しんだことがあった。この不良債権の償還は、バブル崩壊以降の十数年間、日本政府は公金を注入し、銀行も血がにじむほどの努力を重ね、無情な不良債権切り捨てや貸し渋り現象となって現れた。銀行の統廃合も盛んにくり返され、どことどこが統廃合されたのかさえよくわからなくなっているほどだ。日本はようやく最近になって落ち着いてきたようだが、中国はたかだか六カ月やそこらで一四パーセントも不良債権率を下げたというのである。

     ところが、アメリカの「スタンダード&プアーズ」という権威ある民間の評価機関は、中国の不良債権は四五パーセントに達していると発表している。
     中国の不良債権がどのくらいの割合になっているのかはどうでもいいことで、ここではそれを追究したいのではなく、中国側が発表するデータはそれくらい格差があることを示したいのである。中国側のデータが果たして正確なのか、信用するに値するのかどうか、検証してみないとわからないことは、この一点だけを見ても明らかであろう。

    ●中国の経済成長率はこうやって決まる

     中国のデータが信用できるかどうか、もう一つエピソードを紹介してみたい。

     日本人の記憶にはいまだ新しいと思われるが、中国の江沢民・国家主席が来日したことがあった。一九九八(平成一〇)年のことである。このときは大洪水が起こって、下流に大工業地帯を抱える長江(揚子江)が氾濫したことで、七月来日が一一月になった。

     どこの国でもやっていることだが、中国も経済成長率の目標値と実際の経済成長率を発表している。この年の目標値は八パーセントだった。中国の場合、国家統計局が出す経済成長率の数字は必ずこの目標値を少し上回る。この年は八・一パーセントを予定していたという。

     国家統計局がこの数字を朱鎔基首相に提示すると、朱鎔基は大洪水による被害がウソだと思われないよう手直しすることを指示したという。そこで国家統計局は目標値と同じ八パーセントに直して、再度提出したが、それでも朱鎔基は首を縦に振らなかった。朱鎔基という人物は、中国の政治家のなかではまだ誠実な方だった。これだけ被害が大きいのに予定通りの八パーセントでは誰が信じるのかと言ってまたつき返した。結局、最終的には七・九パーセントに落ち着いたという。中国の一九九八年の経済成長率七・九パーセントという数字はこのようにして生まれたのだった。

     中国の経済成長率は経済的なデータを基にして決めるのではなく、官僚によるデータの操作によって編み出されることがよくわかるエピソードだ。

     中国には「官僚はデータを作り、データは官僚を出世させる」という言葉がある。つまり、中国の官僚はデータを低く出すと出世の望みが断たれるため、できるだけ高めに出すことを表した言い得て妙な言い回しであるが、これが中国データの実態である。

    ●中国データを検証する二つの方法

     なぜ一九九八年の経済成長率の決定経過が明らかになったのかというと、二〇〇三年、汚職によって裁かれた元安徽省副省長の王懐忠という人物が司法調査の過程で明らかにしたからだった。王は、国の成長率が八パーセントであれば、安徽省は二二パーセントにせよと指示を出す。しかし、統計局長はいくらなんでも二二パーセントでは見破られるとしながらも、安徽省の生産データを操作してなんとか一六パーセントにしたという。

     中国の発表するデータのカラクリもこれで判明したが、実際、台湾大学経済学部の張清渓氏は『中国統計年鑑』に掲載された各省の国内総生産(GDP)の合計数字をなんど計算しても、全国のGDPを大きく上回ってしまうことを明らかにしている。

     中国国家統計局のホームページで発表された中央と地方の統計数字によると、二〇〇三年の全国経済成長率は九・三パーセントであるが、全国三一の省と市の経済成長率が一〇パーセントを超えたのは二七の省と市にのぼり、そのうち最高は一四・八%にも達していた。九・三パーセントを下回ったのは安徽省の九・二パーセントと雲南省の八・六パーセントだった。あまりの矛盾した統計に二〇〇四年一二月、温家宝首相が省ごとの経済成長率の公表を禁止したほどだ。

     中国の発表するデータがいかにデタラメで、信用できないものであるかを物語ってあまりあるエピソードである。

     では、中国が発表するデタラメなデータを検証する意味はどこにあるかと言うと、中国がどれほどうまく操作して辻褄を合わせたデータを発表しようと、操作しきれない場合があるからだ。たとえば、中国は毎年八パーセントとか九パーセントという高い経済成長率を維持していると発表しながら、実際には物の在庫は増えていて、消費価格はどんどん下がっている。失業率も上がっている。毎年、三〇〇万人ほどの大学生のうち就職できているのは約半数しかいない。これほどの経済成長率を示しながら、なぜそのような矛盾した現象が起こり得るのか、経済学的には説明できないのである。いかに中国政府といえども、そこまでの操作は不可能ということなのだ。

     それゆえに日本政府は中国データの検証は、まず、先に述べたような矛盾点を見極めることである。次に重要なことは、中国側はマイナス情報を出さないという前提に立ち、もしそれが出てきた場合はかなり深刻な事態であると受け止め、あらゆるルート、とくにアメリカと台湾と連携して正確な情報を入手することである。

     おそらくこの二点を踏まえないと、日本は正確な情報は得られまい。くり返すが、正確な情報に基づかない対応は自らを危機に追いやる。巨大な中国と渡り合うには、中国が発信する情報を検証して正確な情報を得ることが肝心であり、そのための方法論を確立することが重要なのである。

    (次の連載10月20日)

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