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  • 2008年12月5日金曜日

    「台湾の声」【論説】中国産食品の農薬問題

    【論説】中国産食品の農薬問題


            時局心話会代表 山本善心

     冷凍ギョーザのメタミドホスやメラミン混入に続き、中国製の冷凍インゲン
    から高濃度の殺虫剤ジクロルボスが検出されてから久しい。しかしその後も
    中国産食品に関する問題は、台湾をはじめ全世界に飛び火している。

     このインゲンは平成19年8月に黒竜江省の農場で収穫されたもので、中
    国北緑食品が洗浄加工、仮包装の上冷凍保存したものだ。含有されていた
    殺虫剤ジクロルボスは人体に頭痛や呼吸困難を起こすもので、日本のケー
    スでは基準値の34500倍という高濃度だった。

     約1年後の今年7月、山東省の煙台北海食品で製品化されたものが青島
    港を出港。8月に東京税関を通関し、9月14日にイトーヨーカ堂南大沢店の
    店頭に並んだ。しかし10月11日にこれを味見した主婦に、舌のしびれと吐
    き気の症状が出る。さらに千葉県柏市で2人の主婦が嘔吐を訴え、すぐに
    吐き出した。


    安全策は強化したはず


     我々は中国製ギョーザによる中毒事件やメラミン混入事件以来、中国産
    野菜の安全に関しては厳重な製品管理が行われているものと信頼してい
    た。冷凍インゲンの輸入元であるニチレイフーズは「中国の工場ではジクロ
    ルボスは使用されていない」と発表。1月のギョーザ事件以後、中国工場の
    管理体制を強化したと自信をのぞかせていた。

     ニチレイフーズ以外にも19社が中国製の冷凍食品を輸入している。各社
    とも中国国内では複数の検査を行い、厳重な管理を徹底してきたと思われ
    ていた。これら日本の業者は安全意識が高く、しっかり管理したというが、そ
    れならなぜ今回のような被害が続出しているのか。

     ニチレイフーズは現地農場の土壌づくりから、出荷に至るまで、さらに委
    託工場でも厳しく検査を行ってきた。流通を担当するイトーヨーカ堂も、品質
    管理責任者を現地に派遣して検査と安全確認をとっている。しかしながら事
    件後、問題の重大さに気づいたイトーヨーカ堂はネギやゴボウ、ブロッコリ
    ー、サトイモなど、他の中国野菜も店頭から撤去した。


    ニチレイフーズの検査体制を問う


     ニチレイフーズ側は現地で自らインゲンを採取して残留農薬検査を行い、
    異常値が出ればその場で廃棄した。冷凍加工して保存したものも検査し、
    中国国内の検疫も受けている。

     冷凍インゲンの輸入検査は、150箱につき5箱、500箱につき8箱の抜
    き打ち検査が義務づけられていた。そこで農薬野菜が1つ発見されれば、
    1箱全部が捨てられる。しかし他の箱が無検査で市場に流されるとしたら、
    今回の問題は起こるべくして起こったと言えよう。

     人間、悪いことを考えれば何でもできる。中国では「事を成すに悪を成す
    者必ずあり」ということわざがある。ニチレイフーズの担当者は毒入り冷凍
    インゲンについて「人為的な可能性は高いという気がするが、何とも言えな
    い」と述べた。しかし人為的でなければ他に何があるというのか。


    広がる自主撤去


     中国が冷凍食品を大量に生産するには、手間暇かかる野菜作りは採算
    が合わない。見かけが立派で長持ちする商品は金になるので、農薬使用は
    必要不可欠だ。しかしこれが企業の自殺行為になることを、中国の生産者
    は考えるべき時が来たようだ。

     ニチレイフーズは「中国以外の仕入れ先を探すのは価格面などで難しい」
    (相馬社長)と言うが、だからといって消費者に毒入り食品を売ってもよいの
    かと問いたい。このままでは中国野菜に対する不信感はさらに根強くなり、
    今後輸入減少は必至だ。

     イトーヨーカ堂の撤去に続き、西友は4品目、東急ストアも2品目を店頭か
    ら撤去すると発表した。ニチレイフーズは現地農場の土壌づくりから関与し
    てきたが、なぜこのような結果になったのか、説明責任を果たしていない。
    日本企業の中国進出には最大の欠陥がある。それは中国人の生活、歴
    史、風習や文化にまったく無知・無関心ということだ。


    衛生観念がない


     台湾でも本年10月、中国製食品による農薬問題で60万人の大規模デ
    モが行われた。筆者は、台湾人の料理店主が「台湾の野菜は中国製では
    ないので、安心して食べてください」と言ったのがずっと気になっていた。ま
    た日本に帰化した元中国人は「野菜に大量の農薬を投入するのは当たり
    前でしょう。一部の日本企業も野菜にたくさんの農薬を使っているのは分か
    っているはずだ。だから事件は後を絶たない」と言った。

     中国には商売になることなら何でもやる農民もいよう。今日一日でたくさ
    ん儲かればよいというのはよく聞く話だ。相手のことを考えず、農薬を大量
    に使用しても罪悪感がない。これが、本質的・根源的に中国人の発想だと
    の見方もある。一方、日本民族は「相手を思いやる」「相手の身になって考
    える」が基本だから、もともと発想に大きな違いがあるようだ。

     ある専門筋の言葉を借りれば、「世界で不潔第1位はインド、2位は僅差
    で中国だ」という。一般の中国人の家を訪れると、屋内でヤギやブタ、ニワト
    リを飼っているから臭くて不潔だという。こうした生活環境や意識の中で作ら
    れる農薬野菜の根絶は難しいというわけだ。


    中国への誤解と錯覚


     我々は中国4000年の歴史は、夢とロマンで綴られ、広大な土地と自然、
    人口、軍事力、経済、北京五輪など、大国と思わせる誇大宣伝や映像に
    感化されてきた。しかし現地の日本人によると、中国人の大多数は貧困で
    あり、国土は荒廃し、倫理も道徳もない無法地帯だとの意見も無視できな
    い。

     中国経済は中国の労働コストに目のくらむ日本企業を、あの手この手で
    投資と技術に誘導した。しかし進出した企業の大半は失敗に終わり、多く
    の日本企業は不快に思っている。企業の中国からの撤退が始まると、中国
    政府は急におとなしくなって「融和政策」をとる。反日デモで大騒ぎを繰り返
    しても「損になる」と見れば態度を急変させる中国外交は変幻自在だ。

     歴史を振り返っても、中国人の民族性や性格は変わらない。利のために
    は順応するが、その特性が変わることはない。それゆえ、中国が民主化す
    るという考え方や論理は成り立たないとの見方がある。西側が民主化や国
    際ルールを押し付けても「それは西側の都合」と考えるからだ。もし変わると
    すれば、個人的な利害や国益を前提とした場合だ、との見方が一般的とい
    えよう。


    価格維持か安全性か


     ニチレイフーズは今頃になって「マーケットが中国産を受け入れないとなれ
    ば、考え直さないといけない」と反省。相次ぐ有害物質混入で、原材料の調
    達先を見直す動きが各食品メーカーで起きている。

     輸入企業は価格維持か安全性かで決断が揺れるところだと言うが、生産
    地でまた同じことが繰り返される可能性は充分に考えられよう。日本の食品
    メーカーが何度検査しても、基準値を超える農薬を含んだ食品の生産が続
    いているのは、物の見方や考え方の違いによるものであろう。「いくら首をひ
    ねっても中国人は分からない」と言うが、中国ビジネスはクロスワードパズル
    のようなものだ。

     そのうち日本企業も「毒入り野菜を売って何が悪いのか」と思うようになる
    のではないか。中国人に同化して日本企業が中国化されてしまうことが心
    配でならない。中国人の民族性、精神構造、伝統、体力、どれをとっても日
    本人と大きく違いすぎるのだ。まず中国人の本質を理解し解決策を見つけ
    ることが、対中ビジネスを成功させる第一歩といえまいか。


    日中は歴史的転換点にある


     しかし中国人がどう考えようと、世界は米国主導のグローバル化が基準で
    ありルールなのだ。中国だけが一人芝居をしても、世界から孤立しては生
    きられまい。それゆえ中国政府は、世界基準に準じて国内の政策やシステ
    ムを変えようとする努力の跡が見受けられる。胡錦濤政権は、中国農業の
    再生に向けて新政策を打ち出そうと躍起だ。

     中国の国会にあたる全国人民代表大会は、10月23日〜28日に常務委
    員会を開催して、食品安全法を可決した。インゲンの生産拠点である山東
    省青島市では、食品安全意識の高まりから現地の中国企業が集まり、セミ
    ナーが開かれた。中国側でも、日本市場に適応できる野菜作りに向け対策
    強化が検討されている。

     これまで「日中友好」「日中親善」とお題目のように唱える、当たり障りの
    ない両国関係が築かれてきた。これは「先送り、横並び、事なかれ主義」と
    いう日本社会の延長に見る外交姿勢である。日本の為政者の態度があい
    まいだから、日本の国民や中小企業、ひいては中国にまで誤解と錯覚を招
    いてきたといえよう。

     今後は単なる表層的な友好関係ではなく、政治的意図に振り回されること
    のない、本音で語り合える関係に発展すべきであり、歴史的な転換点を迎
    えていると思う。今後の日中外交は、官主導から民主導に転換する時代で
    はなかろうか。拉致事件に見るあいまいな日本外交を見直すには、民の意
    識改革と行動で、世論の動向を変える姿勢が問われていよう。

    『台湾の声』  http://www.emaga.com/info/3407.html

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