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  • 2014年5月21日水曜日

    「台湾の声」【中国】南シナ海を火薬庫にした中国の権力闘争【黄文雄】

    転載:2014.5.21 13:00

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         黄文雄の歴史から読み解くアジアの未来

           2014年5月21日号(第23号)

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    ☆【中国】南シナ海を火薬庫にした中国の権力闘争

    ◎交流計画の停止声明、中国がベトナムに圧力狙い
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140518-00050093-yom-int

     中国とベトナム間の緊張は高まるばかりです。中国はベトナムとの経済的、人的交流を一時的に停止すると発表しました。

     その少し前、ベトナム政府は事態を重く見て、反中デモを全面的に取り締まる方針に出たばかりでした。反中デモによって中国人の死者が出てしまったからでしょう。工場を破壊された中国、台湾、日本企業も多数あり、これ以上破壊行為が繰り広げられたら、ベトナム経済そのものが滞ってしまう可能性もあります。

     ベトナムのデモ隊は、漢字を見れば破壊するといった状況だったため、台湾はもちろん、日系企業までもが巻き込まれたわけです。日本人だって被害にあっていながらも、在ベトナム日系企業が、デモ隊に追い詰められた中国人を救出するという一幕もありました。困った人を助けるのは当然でしょう。

     しかし、こうした善意は中国人のフィルターを通すと、「日本人の媚中行為は自分の利益のためだ」「小日本に救出されるとは何事だ」などとなってしまいます。感謝するどころか、批判されてしまうのですから、助け損です。
    http://sankei.jp.msn.com/world/news/140517/asi14051715520011-n1.htm

     台湾の対ベトナム投資は多く、人件費の安い中国人労働者を雇用する企業も少なくありません。今回の反中デモで、台湾外交部(外務省)は史上初めて台湾企業に対して、「中華民国」や「リパブリック・オブ・チャイナ」という表記を使わないよう、異例の勧告を行いました。
    「China」や漢字表記が狙われるので、これらを避けるよう指示したのです。

     いずれにせよ、今や世界が中国の横暴ぶりにあきれ果てています。しかし、それぞれの奥に事情から世界が一枚岩となって中国批判を繰り広げることができないのがもどかしい所です。ASEAN内だけでも、中国に対しての温度差はあり、今回の中国の蛮行に対しても腰の引けた声明しか出せませんでした。特に、中国からの多額の援助に依存しているカンボジアやラオスは中国を擁護する発言さえしています。
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1001Q_Q4A510C1MM8000/

     今回、中国が南沙諸島で起こした一連の騒動の理由は、メディアでいろいろと取り上げられていますが、最も有力な説として習近平体制の崩壊危機があります。5月初旬、習近平がウイグルを視察に訪れた際、ウルムチ駅で死者が出る爆発事件がありました。中国は、これを計画的テロ行為だとして片付けていますが、明らかに習近平を狙った反体制勢力のしわざです。中国政府はそれを公にせず、ウイグル独立分子によるテロだと改めて公表しました。
    http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20140519-00000003-nnn-int

     また、習近平は2013年から、「中国は大国であり、根本的な問題で『転覆性の錯誤』は許されない」といった発言を繰り返しているそうです。なんとも抽象的な表現で、一体何を言っているのかわかりませんが、本人はこの言葉が気に入っているようで、繰り返し使用しているようです。中国国内でも、この言葉の真意をめぐって様々な憶測が飛んでいます。
    http://news.searchina.net/id/1524997

     ここで推測できるのは、習近平は何かにおびえているからこそ、こうした発言を繰り返したのではないかということです。記事にもありますが、「転覆性の錯誤」というのは、政権転覆を意味しているのかもしれません。政権の舵取りに自信がなく、他の勢力による圧力にも怯えているため、他者を警戒する意味でこうした言葉を使っているのかもしれません。

     そして、今回のベトナムとの衝突が起きた背景には、習近平に対する政敵からの反撃という見方があります。現在、習近平は徹底的な汚職撲滅運動を展開していますが、これは政敵を追い落とすためにやっていることです。

     そして、いま習近平が逮捕・失脚させようとして狙っているのが、前政治局常務委員で江沢民の懐刀でもあった周永康です。そしてこの周永康が握っていたのが、石油利権でした。
     今回のベトナムとの衝突も、南シナ海で中国が石油掘削リグを設置したことから起きたことです。

     習近平がなぜ周永康の追い落としを図っているかというと、権力闘争の歴史があります。
     はじめ、胡錦濤以後の中国のリーダーとして、江沢民の後継者である曽慶紅が最有力でしたが、中国共産主義青年団(団派)というエリート集団の派閥には勝てないと思ったため、元上海市長の陳良宇と太子党の薄煕来、習近平を抱き込んで、胡錦濤から政権の禅譲を受けようと画策しました。

     ところが、陳良宇が胡錦濤らの団派に潰されてしまい、その芽はなくなりました。江沢民の後継者として、薄熙来と習近平が浮上し、権力闘争の様相は複雑化していきます。

     薄熙来は「唱紅反黒」(毛沢東主義を唱え、汚職を追放)キャンペーンで一躍人気が急上昇、しかも江沢民派で情報・司法のトップを務めた周永康と手を組み、毒針注射などを含め、習近平暗殺を図りましたが、習近平は運良く危機を脱しました。

     ここまでやる薄煕来の力に各派閥が恐れ、よってたかって薄煕来を潰しました。もちろん習近平も恨み骨髄で、薄煕来の次に周永康を狙っているというわけです。

     すでに周グループに裏金が1・5兆円もあることを公表しています。この周潰しに絡んで、日本在住の上海閥のエージェントである中国人の某大学教授も、東京恵比寿の土地転がし資金のことがもとで逮捕され、徹底追求されました。

     このような習近平と周永康の熾烈な権力闘争で、周永康側が習近平に反撃するために起こしたのが、今回の南シナ海でのベトナムとの衝突だったという説が言われています。

     その一方で、習近平が政敵を一掃するために戦争を起こそうとしているという見方もあります。かつて?小平が軍も中越戦争を仕掛けましたが、ベトナム侵攻に失敗。しかしその責任を軍の将軍たちに向けて徹底追求したことで、軍の完全掌握が可能となりました。
    再び中越戦争を仕掛け、軍と党の完全掌握を握ろうとしているという説もあります。

     さらに、アメリカが日本やフィリピンなどアジア諸国を歴訪した直後に中国が起こしたアクションだということで、アメリカの動きを探る意図もあったのではないかとの憶測を読んでいます。
    http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304155604579550560422393596

     しかし、何も歴史的な怨恨を持つベトナムを相手にしなくてもよかったのではないかと思います。ベトナムとは国境付近でしょっちゅう小競り合いを繰り返してきました。それも、毎回中国の勝手な領土拡張主義に付き合わされてきたのです。ベトナム市民の中国に対する反感と恨みは根深いものがあります。
    http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/140515/wor14051523260052-n1.html

     そして、今回の騒動で、ベトナム市民の堪忍袋の緒が切れたのでしょう。問題の南沙諸島海域では、中国は軍艦四隻、船130隻を配備して戦闘態勢を取り、ベトナムを威嚇しています。

     また、ベトナム側の監視船が450トン級なのに対し、中国側は2000トン級が主力だといいます。やはり海戦ではベトナムが圧倒的に不利な情勢です。ただし陸上のゲリラ戦ではかつてアメリカを敗退させた過去があるだけに、やはり中国何するものぞという期外に満ちているのでしょう。

     そして、今回の交流停止声明です。まさに一触即発の状態です。

     中国とは「指桑罵槐(しそうばかい)」の国だと言われます。「桑を指して、槐(えんじゅ)を罵る」、つまり、本当に批判したい人間を罵るのではなく、別の人間を罵ることで、相手を攻撃するということをよくやる国なのです。中国の本当の意図がよくわからないのは、そのためです。だから、さまざまな憶測が飛び交います。

     そして、当て馬にされたほうとしては、実に迷惑です。

     今回の中国とベトナムの衝突の裏側に何があったのか、原因はまだ明らかになっていませんが、中国の勝手な国内事情で周辺諸国に迷惑をかけているのは間違いありません。

     にもかかわらず、自国を正当化して恥じることがないのは、やはり中国らしい厚顔無恥ぶりです。どうやっても好かれるはずがありません。

     こうした厄介な中国をいかに改心、無力化させるか、共産党一党独裁を崩壊させるのか、あるいは大きすぎる国土と多すぎる人口を分割し、それぞれ分離独立させるべきか……。それこそが21世紀最大の世界の問題となってくるでしょう。

     と、ここまでは中国の国内事情を中心に解説しました。

     長くなりますが、ここで中国とベトナムの歴史的関係について、少し説明したいと思います。
     今回の中国とベトナムの衝突に関して、私が気になるのは、日本の言論人やマスメディアも、「現在進行形」のことしか述べず、歴史についてはほとんど触れていないことです。

     ベトナム政府の主張によれば、長江以南の百越の地はベトナム人先祖代々のホームグランドだったということです。漢初時代の大越国の都は現在の広州でした。

     2000年来、ずっと中国からの侵略を受け、祖先の地を中国人に奪われてきたのです。

     周恩来総理も、かつて社民連時代の田英夫議員に、海南島を統一後のベトナムに返還すると約束しています。この約束は当時の「週刊ポスト」に長文の記事として掲載されましたが、現在もベトナムには返還されていません。

     南シナ海域は、戦前、新南群島を中心に大日本帝国に所属していました。戦後のサンフランシスコ講和条約により、台湾と高雄州に所属していた新南群島を放棄したことにより、無主の地となって紛争が起きたのです。

     1974年の西沙群島、1986年の南沙群島をめぐるベトナムと中国との武力衝突を含め、陸のほうも対ベトナム懲罰戦争により4回も国境戦争があり、計6回も武力衝突したのです。

     歴史を抜きにしてベトナムと中国の紛争の真相はわかりません。日本のマスメディアも、もっと歴史的観点からのベトナム人の主張にも耳を傾けるべきではないでしょうか。

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