汪常
【大紀元日本9月26日】9月14日、黒龍江省チチハル市の鉄道学校において、退役軍人の訓練生1000人による騒乱が発生した。憤った彼らは、教室、オフィス、宿舎、食堂等の設備を破壊し、自動車を横転・焼却した。当局は数百名の武装警察を出動させて鎮圧にあたったが、この過程で激しい衝突が起こり、20人余りが負傷、5人が逮捕された。事件後、校内では厳戒態勢が敷かれている。騒乱に関する情報や画像がネット上で流れたが、まもなく当局によって削除された。
この少し前に、内モンゴル、湖北、陝北等多数の鉄道学校の退役軍人数千人が類似の騒乱を引き起こした。報道によると、こうした騒乱は相互に呼びかけを行って実施したものであり、理由が共通しているという。現在、組織間の関係は明白であるとはいえないが、大量の報道から、彼らの間に確かにつながりがあり、相互に影響を与えていたことが証明されている。近年、各地の退役軍人による集団抗議、騒乱が頻繁に発生し、その規模も拡大を続けており、政府当局を懸念させている。
今年初め、鉄道部は1・4万人の退役軍人に対して試験を行い、このうち6000人を採用した。全国12箇所の鉄道高等職業学校で学ばせ、2年後に学歴と仕事を与えることになっていた。しかし、各地の学校は機に乗じて私腹を肥やし、学生からピンハネする一方、彼らに劣悪な食事、宿舎、施設を与えたほか、費用の乱徴収を行った。学生が与えられる賃金は、毎月わずか数百元であったが、校内の物価は外よりも高く、飲用水、携帯電話の充電にも費用が徴収された。さらに学生の不満をかったのは、学業における減点と減俸とをリンクさせたことで、これが騒乱をもたらした直接の原因である。
しかし、退役軍人の騒乱には、ほかにも潜在的な原因がある。包頭鉄道学校の郝某氏は次のように語っている。「鉄道学校のひどい所は、供給超過で、コネのない学生はいい仕事が与えられない」「いい仕事が与えられるのは、家に力があるか、あるいはトップに何万元も渡せるような人です。そうしなければ、電車の運転手や車掌になれないの」「一般の人に与えられるのはつまらない仕事ばかりで、これでは、自分で仕事を探したほうがましだ」。
中国退役軍人の処理は、既に大きな社会問題となっている。解放軍総政治部信訪局の発表によると、毎年少なくとも10万人余りの退役軍人が失業しており、直訴する転業軍人も増加を続けている。軍人には、服役期間において技能を学ぶ機会がないため、退役すれば即失業となる。農村戸籍の復員兵は、農村に戻ることについて更に不満を感じている。北京理工大学教授の胡星斗氏によると、中国は依然として義務の兵役制度を採用しているが、長期的にみて、軍隊を職業化しなければ、退役軍人の生計の問題を根本的に解決することはできないという。
生活が保障されないことから、近年、退役軍人の人権活動が活発になりつつある。2003年3月、河北省の退役軍人2000人余りが省軍区のビルを占拠し、彼らの権利を保障することを要求した。2005年4月、退役軍人1600人余りが、北京にある解放軍総政治部前で座り込みのデモを行い、福利の向上を求めた。同年11月、深センで退役軍人数千人がデモを行い、国有企業改革による彼らの生活困難の問題を解決するよう求めた。今年7月、山東省の退役軍人数千人が煙台に集結して直訴を行い、対策の実施などを求めた。
政府資料によると、1999年における退役軍人の直訴者は73000人で、このうち政府機関に突入したものが73件、流血事件が27件であった。2005年に中共中央と中央軍事委員会弁公庁が共同で発表した「全国復員軍官人権センターの違法活動に関する調査」によると、2005年において、直訴中に死亡あるいは自殺した退役軍人は500人余りで、2006年において全国に存在する「違法」退役軍人組織は104個あるという。
現在、退役軍人に訓練を行う12の鉄道学校は全て閉鎖され、6000人の退役軍人は故郷に戻されており、事件は調査中である。退役軍人による集団の騒乱は、中国社会の危機が深化し、社会の不安定要素が拡大し、既に危機の臨界点に達していることを示している。退役軍人は武装訓練をしており、彼らが集団で抗争を起こせば、いつでも激しい衝突へと発展しうる。
《華夏電子報第210期》より
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