説明
2008年3月31日月曜日
「台湾の声」【コーディネーター募集】中国大使館前抗議行動へ
世界いっせい中国大使館前抗議行動への参加の訴え
特に、名古屋、福岡、札幌、長崎でのコーディネーター募集
4月26日正午より30分から1時間
北朝鮮自由連合の主催で、世界同時に4月26日正午に、北朝鮮難民強制送還に
反対する中国大使館前抗議行動が行なわれます。前回は、12月1日に行なわれ、世界で、「中国の殺人(強制送還すれば死刑になるのは明白であるから)をやめさせよう!
北京五輪ボイコット」のスローガンの下、行なわれました。昨年の参加国は、
日本のほか、アメリカなどの北米諸国、主要なヨーロッパ諸国、韓国など十数カ
国に及びました。前回、日本は東京でだけ行なわれましたが、今回は、日本のすべての大使館、領事館前で開催したいと思っています。
つまり、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、長崎です。ぜひ、みんなでがんばりましょ
う。昨年、12月1日に東京の中国大使館前で開催された抗議行動には、約10人が参加し、アメリカと韓国と日本の国会議員の抗議声明を読み上げ、抗議文を読み上げ、各自が中国大使館に訴え、30分ほどで終了しました。
北朝鮮自由連合は、2003年6月に、北朝鮮国民の自由と人権と尊厳のために
行動するために結成された超党派の団体です。北朝鮮自由連合は、現在、アメリカ、韓国、日本などの60を越える団体と個人により構成されています。また、北朝鮮や中国国内で難民を保護するメンバーもいます。構成団体は、いろいろな政党、宗教など、北朝鮮に関するさまざまな見解を持っていますが、共通なことは、人権が北朝鮮への政策の中心であるべきだと考えている点です。北朝鮮自由連合は、政治家、非政府組織、政府と、緊密に行動しています。北朝鮮自由連合は、主要なアメリカ、韓国、日本の非政府組織を含み、さらに北朝鮮の亡命人の組織を含むことを誇りに思っています。
目的は、
(一)すべての政府が北朝鮮に対しての政策の中心を人権にするようにし、
(二)難民を助け、残忍な送還制作を中国にやめさせるように圧力をかけること
によって、北朝鮮人の生命を助けること、
(三)北朝鮮の強制収容所を撤廃させること、
(四)朝鮮戦争の捕虜を含むすべての拉致者を解放するよう北朝鮮に圧力をかけ
ること、
(五)あらゆる手段を通じて北朝鮮へ情報を広めること、
(六)食糧援助を直接北朝鮮国民にし、体制による食糧配給制度をやめさせるこ
と、
(七)北朝鮮国民に自由と人権と尊厳をもたらすこと、です。
日本コーディネーター 安東 幹(あんどう かん)
080−3396−2993
kanandoj@yahoo.co.jp
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「台湾の声」【台湾の旅】 (94) 屏東県その5
PINTONG
屏東県その5
(文/西江智彦)
Sam-te-mng,Bu-tai,Ma-ka,Thai-bu,Lai-gi
三地門、霧台、瑪家、泰武、來義
パイワン族の石板造り建築・ティムル
三地門(Sam-te-mng/サムテームン)郷は高樹郷の東、内埔郷、瑪家郷の
北、霧台郷の西、高雄県茂林郷の南にある。パイワン族が住む山地原住民
郷。
三地門はパイワン語でティムル(Tjimur)と呼ばれ、「ティムル社の人」
という意味を表すスティムルからホーロー人から山豬毛(San-ti-mng)と
呼ばれるようになり、日本時代はサンテイモン社と呼ばれ、のちに三地門
という漢字が当てられるようになった。
台24線が内埔郷の水門(Sui-mun/スイムン)から三地門大橋を渡って三
地門郷の市街地を経由して、ルカイ族が住む霧台郷へ抜けている。
三地門郷公所はパイワン族の伝統建築である石板造りを採り入れたデザ
インで建てられている。郷公所から少し上ったところにティムル公園やパ
イワン族の文化が展示されている陳俄安博物館、撒古流工作室などがある。
台24線から北へ上ったところにあるトクブル(徳文)村で、徳文山には蝙
蝠洞がある。
高樹郷の廣興(Kong-hin/コンヒン)の東にある賽嘉(Sai-ka/サイカー)
村は航空訓練センターがあり、標高約350mの地点にある賽嘉航空公園から
はグライダーやパラシュートが楽しめる。賽嘉の北はカウ社(口社/Khau-
sia)で、パイワン語で口という意味のサガランと呼ばれる村。ここから大
社口社産業道路を東に上ったところにあるのがトア社(大社/Toa-sia)で、
パイワン語でパリラヤヌと呼ばれる村。ここはサガラン、トクブル、キニ
ジヤロアンの三社を支配する大頭目の所在地であることからホーロー人か
ら大社(Toa-sia)と呼ばれた。トア社はカウ社渓の上流にあり、大社瀑布
がある。
カウ社の北にある青山村はパイワン族伝統の石板屋造りの頭目
(mazazangiljan)の家にパイワン族の文物を展示したパイワン(排灣)文
物芸術館がある。青山村から沙漠渓を上った東側の山には海神宮や神池な
どパイワン族の聖地がある。
ルカイ族が住む・ヴダイ
霧台(Bu-tai/ブウタイ)郷は三地門郷、瑪家郷、泰武郷の東、台東県金
峰郷、卑南郷の北西、台東県延平郷の西、高雄県茂林郷の南にある。ルカ
イ族が住む山地原住民郷。三地門郷から台24線が霧台郷へ乗り入れている。
霧台はルカイ語でヴダイ(Vudai)と呼ばれ、霧台村に郷公所がある。三
地門郷から台24線を上り、霧台郷に入ってはじめにあるのがクルングル
(KurengeLe/伊拉)。ここには伊拉第一瀑布、伊拉第二瀑布などの滝がある。
標高700mのあたりまで上ったところにあるのが霧台郷の中心であるヴダイ
(Vudai/霧台)で、ルカイ族の民族芸術品を集めたルカイ文物館やルカイ
族の民宿村があるほか、霧台瀑布、相思崖などがある。毎年8月中旬には
ルカイ族の豊年祭が行われる。霧台から台24線をさらに上るとキヌラヌ
(Kinulane/去露)、アディリ(AdiLi/阿禮)などの村がある。また、ヴダ
イ(霧台)の北にはカラムムディサヌ(KaLamumudisane/佳暮)村やラドゥ
アヌ(Laduane/大武)村がある。
瑪家郷から隘寮南渓を上り、三地門郷の水雲瀑布より少し上って、霧台
郷に入ったところにクツァプンガヌ(Kuzapungane/好茶)村があり、ここ
もルカイ族の村となっていて、ルカイ族の伝統建築が残っている。
台湾原住民文化パークがある・マカザヤザヤ
瑪家(Ma-ka/マーカー)郷は内埔郷、萬巒郷の東、泰武郷の北、霧台郷
の西、三地門郷の南に位置する。パイワン族が住む山地原住民郷。隘寮南
渓が三地門郷との境になっている。
瑪家はパイワン語でマカザヤザヤ(Makazayazaya)といい、傾斜地を意
味している。郷内には台湾原住民文化園区があり、83ヘクタールの広い敷
地に、台湾原住民の伝統建築や民族衣装、工芸館、視聴館、八角楼特展区
などがある。
郷公所がある北葉(Pak-hioh/パクヒオ)村はパイワン語でマシリジとい
う。内埔郷と三地門郷を結ぶ三地門橋に近い。マシリジの南、内埔郷から
涼山橋を渡ったところにある涼山はパイワン語でワカバと呼ばれている村。
涼山公園や涼山瀑布がある。ワカバから南へ行くとカザギザン(佳義)村
がある。マカザヤザヤ(瑪家)をずっと上って行った旧筏灣部落にはサラ
ワ瀑布があるほか、パイワン族の村の史跡がある。
パイワン族の聖なる大武山がある・クラジュッ
泰武(Thai-bu/タイブウ)郷は瑪家郷の南、萬巒郷の東、来義郷の北、
霧台郷、台東県金峰郷の西に位置する。パイワン族が住む山地原住民郷。
泰武はパイワン族ではクラジュッ(Kulaljuc)と呼ばれている。また、泰
武郷公所がある佳平村はパイワン語でカヴィヤンガン(Kaviyangan)と呼
ばれている。泰武郷公所は萬巒郷の萬金(Van-kim/ヴァンキム)から東へ
3キロほどのところにある。
ワルス(瓦魯斯)渓を標高700mのところまで上ったところに神秘谷が
ある。泰武郷の東、台東県金峰郷との境にはパイワン族の聖なる山とされ
る大武山(Tai-bu-san)がある。北大武山は標高3092m。
パイワン族の竹竿祭・チャリャアヴス
来義(Lai-gi/ライギー)郷は泰武郷の南、萬巒郷、新[土卑]郷の東、春
日郷の北、台東県達仁郷、金峰郷の西にある。パイワン族が住む山地原住
民郷。來義はパイワン語でチャリャアヴス(Tjaljaavus)、郷公所がある
古楼村はクジャジャウ(Kuljaljau)と呼ばれている。來義は日本時代まで
ライ社と呼ばれていた。住民のパイワン族は中排のパヴマウマグ
(Pavmaumag)に属している。
郷内はチャリャアヴス(Tjaljaavus/來義)、チャナアシヤ(Tjyanaasiya
/義林)、ザラシヴ(Zalasiv/丹林)、クジャジャウ(Kuljaljau/古樓)、
プツヌグ(Pucunug/文楽)、ヴンガリッド(Vungalid/望嘉)、パイルス
(Pailjus/南和)の7つの村がある。
來義郷では5年に一回のパイワン族の伝統的な竹竿祭・マレヴェク
(Maleveq)が郷内の文楽、望嘉、古樓、南和などの村で行なわれている。
このお祭りは「人神盟約祭」とも呼ばれ、祭儀を通じて「五穀豊収」を祈
り、農業の方法を学んだり、頭目による結婚式が行なわれ、神に誓う。
郷公所があるクジャジャウ(古楼)は、新[土卑]郷と萬巒郷との境に近
く、林邊渓が流れている。対岸のザラシヴ(丹林)は新[土卑]郷と丹林大
橋でつながっている。林邊渓の上流のワルス(瓦魯斯)渓を上り、義林橋
を渡るとチャナアシヤ(義林)村、そこからさらに上るとライ社・チャリャ
アヴス(來義)村がある。ライ社からさらに山に上ると来義牧場や鴛鴦瀑
布、来義峡谷がある。来義橋の手前からワルス渓を北に上るとトアアウ
(Toa-au/大後)村があり、泰武郷の佳興村へ抜けられる。
ザラシヴ(丹林)から南へ、文楽大橋を渡るとプツヌグ(文楽)村で、
新[土卑]郷の興華農場の東にある。その南はヴンガリッド(望嘉)村で、
新[土卑]郷の獅頭の東にある。パイルス(南和)村は、春日郷との境のリ
キリキ(力里)渓沿いにある。
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2008年3月30日日曜日
「台湾の声」【正論】「台湾人民の勝利」の意味は
3月26日 産経新聞「
シリーズ「総統選」以後−「台湾人民の勝利」の意味は
元駐タイ大使 岡崎 久彦
民主政治で一つの政党が永く政権を持てば、スキャンダルも発生して民心は倦
(う)む。しかし、台湾の総統選挙の結果はそれが予想させる以上の国民党の大勝であ
った。
しかし、そのことは、かえって−負け惜しみでも何でもなく−台湾の将来につ
いて一種の楽観的な見通しを持たせるものかもしれない、と思うに至っている。
つまり、台湾の有権者は国民党の勝利が中台統一の可能性に結びつくとは全く
考えていなかったということである。そうでなければチベット事件の最中に統一の可能
性のある選択をするはずがない。
むしろ、当選した馬英九候補は初めから統一を支持しないと言っていたし、オ
リンピック・ボイコットさえ示唆した。また選挙戦を通じて、国民、民進両党候補はそ
れぞれがいかに台湾人意識を持つかを競い合ったと言う。
従来私は台湾の自由と民主主義の将来について危惧(きぐ)を持っていた。民
主主義は、与党と野党が民主制度の維持について、共通のヴィジョンを持っていなけれ
ば成立しない。
ナチスのような独断的な国家観を持つ政党を民主選挙で選ぶということは、民
主的方法で民主主義の終わりを選ぶということである。
台湾の場合も、一国二制度を受容するような政権を選ぶということは自由と民
主主義の終わりを意味する。
香港では10年経っても普通選挙が行われていないが、実は、そんなことは末梢
(まっしょう)的である。問題は香港の自由があと40年しか残っていないということだ
。50年を100年にしても同じことである。自らの子孫の自由を放棄すると約束することで
ある。
■国民党でも安心?
私はそれを憂慮した。中国の胡錦濤が提案し馬英九候補がこれに応じた和平協
定交渉による平和的方法による場合でも、あるいは軍事的脅迫により屈服を迫る場合で
も、総統が国民党である場合は、一国二制度に近いものを受け容(い)れる可能性が高
いと考えたからである。
そして、その可能性がゼロになるまでは民進党が政権を持つ方が安全と考えた
のであ
る。そうなれば民主的な政権の交代が行われても台湾の将来に心配がないからで
ある。
今度の選挙の結果は、ひょっとすると、あるいは台湾はもうそういう段階に達
しているのかもしれないという希望を持たせてくれた。
もちろんまだ手放しの楽観は許されない。国民党が立法院の4分の3と総統の
両方を持っているという状況は二度と訪れないかもしれない。中国がそのチャンスを生
かそうとするのは自然であろう。
私は、今度の選挙の結果から中国が誤ったシグナルを受け取らないことを希望
する。馬英九候補が大勝後「これは台湾人民の勝利」だと言ったことの背後にある台湾
の民意を中国は理解すべきである。
■米中の対応に注目
中国が従来、プロパガンダか真意かはともかく、これまで標榜(ひょうぼう)
していた経済の相互依存を深めることによる自然な統一の政策を採るのならば異存はな
い。
私は元来政治と経済とは別のものと考えている。ただ、経済依存度の深まりを
利用して、中国に投資した台湾企業に対する脅迫などの不正な手段を政治的に利用させ
ないよう厳に警戒すべきである。
今回の選挙結果から誤ったシグナルを受け取るべきでないことは、アメリカの
一部の中国専門家にも言えることである。これで台湾海峡はしばらく現状維持で心配な
い、とほっとすることは妥当である。しかし、これで将来統一の方向で台湾問題が解決
すると想定することは、台湾の民意の重大な読み違えを犯す危険があることを指摘して
おきたい。
最後に、将来民主主義の作用によって、振り子が逆に戻ったとき台湾独立が醸
し出す危険については、その危険は幻想であることを指摘しておきたい。台湾はすでに
国際法上独立主権国家として認められる実体を有している、欠けているのは国際的承認
だけである。より端的に言えば米国と日本による承認である。
しかし米国政府は従来の米中政府間のコミュニケでがんじがらめになっている
し、日本はこの問題で独立して行動する政治力を持たない。とすれば、台湾が独立を公
式に宣言しても、現状と異なること皆無である。
国民党、というよりも台湾の民意が統一反対に徹している限り、台湾の中には
台湾の将来について安定したコンセンサスが存在することになり、それは、民主主義の
ルールの下の政権の交代を可能にさせるものである。
(おかざき ひさひこ)
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2008年3月29日土曜日
「台湾の声」【論説】「馬英九の台湾」
時局心話會代表 山本善心
22日の台湾総統選で、国民党の馬英九氏は民進党の謝長廷氏に大差をつけて
当選。得票率/得票総数は、馬氏58.45%/7.658.724票、謝氏は41.
55%/5.445.239票であった。1月の立法院(国会)選挙時の得票率は国
民党51%、民進党37%だった。国民党への総統交代は8年ぶりである。
馬氏の圧勝について、各紙の論評や台湾の専門筋の意見を要約すると、�民進
党は対中強硬路線や「独立」路線の仮面をかぶって中国傾斜の経済政策をとり産
業を空洞化させた、�陳総統の家族や側近らの汚職事件と民進党の無能と腐敗が
謝氏にブレーキをかけた、�陳政権の8年間で対中・対米関係が不安定になった
、�民進党政権では経済と生活の立て直しは難しい、などであった。
選挙運動の最中である2月15日、時局心話會の参加者一行が訪台したときの
ことである。テレビのチャンネルを何度かひねってみたが、選挙ニュースの70
%以上が馬氏の映像であった。当時、各紙与野党系の世論調査でも平均して馬氏
55%、謝氏20%前後である。筆者は、馬氏が圧倒的に強いという予感と空気
を感じ取ったものだ。
謝氏はイケメン馬氏に負けた
訪台の際、我々一行は謝氏の選挙事務所を訪問し、日本から持参した大きなダ
ルマをプレゼントした。今回、そのダルマの片目に勝利の墨を入れられなくて、
謝氏も残念であったに違いない。しかし総統候補としての謝氏の見識と論戦は、
見事の一言に尽きるものだ。
人物を見ればその器量や能力、素質が97%以上見抜けるという人物がいた。
料理屋のご主人の顔を見れば店の味が理解できるのと同じだ。台湾人は、高雄市
長時代に謝氏が残した業績や能力を評価する人が多い。
筆者は馬氏や謝氏に会う機会を得てじっくり観察したが、謝氏は総統にふさわ
しい人物と期待した。しかし馬氏と比べると、人気やスタイル、男前でスタート
から20ポイントの大差をつけられていた。
陳水扁総統の8年間
2005年5月、陳水扁総統は就任式で「5つのノー」を公約した。これは中
国が武力行使をしないなら�台湾独立を宣言しない、�国名(中華民国)は変え
ない、�二国論を憲法に盛り込まない、�独立か統一かを問う住民投票は行わな
い、�(統一の道筋を定めた)国家統一綱領を廃止しない、というものであった
。
陳総統は「台湾共和国」を公約して当選したが、この「5つのノー」で中華民
国体制からの脱却を否定した。謝氏のように「台湾の独立した現状を守る」と強
調すれば、陳政権の存在も大きく変わったにちがいない。しかし政権与党であり
ながら多数の議席を握る野党国民党の攻撃に、民進党は理想や目標を明確に語れ
なかった。
だが今後は台湾派が野党になり、政権与党国民党の政策のチェックや台湾路線
の監督など、台湾の台湾化を促す2大政党制、政策による政権交代が可能だ。馬
氏は総統選で60%近い得票率を確保したが、60%近い「台湾人意識」が浸透
する中で、残る40%の野党票を無視することはできない。
馬氏も台湾化路線
陳前総統に対する台湾有権者の評価は、すでに述べたとおりである。陳氏は台
湾独立運動家が総統になってそのまま「独立」を連呼してきたという印象が強い
。しかし近年に見る台湾語など母国語の復活、台湾の郷土教育の充実で、台湾住
民による台湾人意識は大きく変化したのである。
特に台湾語や郷土史の教育は、李登輝総統時代の90年代から始まっている。
しかし陳政権の8年間で台湾語が小学校の必修科目になり、中学校で台湾の歴史
、地理、社会、伝統、文化を詳しく教えてきたことが台湾人意識を高揚させた。
台湾の世論調査記事によると、自らを台湾人と思う人は60%以上、台湾人で
あると同時に中国人だという人(混血・新人類)は30%、中国人だと思う人は1
0%以下だという世論調査もある。
台中経済改善に期待
馬氏は�中国とは統一しない、�台湾は独立しない、�中台間の武力行使は行
わないなどと連呼し、台湾問題は2300万人の台湾住民が決めると訴えた。さ
らに「経済改革と生活改善に早急に取り組む」「台湾の自由と民主を守り骨を埋
める」と強調、台湾系住民の安心感を誘った。
馬氏は、陳政権で硬直した対米・対日関係で対米交渉のレベルを引き上げ、日
米安保条約を重視するなど親米・親日路線と関係改善を掲げたのである。今後は
台湾経済人の期待に応えて、対中関係の実利改善を公約した。
台中経済政策としては、�4年後には中国人観光客を1日1万人に増やし年間3
60万人とする、�2年以内に直行航空便を定期化、�対中投資制限の撤廃など
、「対中経済の回復で台湾経済を活性化させる」と公約した。しかしこれらの政
策では短期的に成果が出ることもあるが、長期的には中国とのリンクがさらに強
められ、台湾の産業空洞化が進むなど、陳政権の二の舞になりかねない。
中国経済で台湾は救われるか
馬氏は今後、有権者の選択した経済振興に対する期待に応えねばならない。つ
まり住民の"経済と生活"に対する不満と批判を吸収して当選したのだから、「
経済失敗」は許されない。それゆえ、どこまで馬氏が期待に応えられるか、世論
の目は厳しさを増すことになろう。
一方馬氏のいうように対中関係がうまくいくのか否か、したたかな中国を相手
に都合のよい交渉ができるのか、疑問視する声もある。ましてや筆者から見て、
中国への一方的な傾斜が台湾経済を危うくする事態もある。中国経済は北京五輪
を機に世界から批判の的になっているからだ。
今後、台湾経済はBRICsに市場を広げるべきだ。すでに韓国企業は中国から撤
退や夜逃げが日常化している。日本企業の投資・合併・工場進出も激減した。今
では中国経済もコスト高が加速して、魅力が乏しくなっている。中国のコスト安
時代は終わったのである。馬氏の対中傾斜は、一歩足を踏み外せば世論の反発を
招くという火種を抱えている。
中国は馬氏を歓迎しない
馬氏は中国との関係改善を唱えながら、チベット暴動を鎮圧した中国に北京五
輪ボイコット・カードを突きつけた。中国はこれに対して今のところ沈黙を保っ
ているが、北京五輪という弱みにつけ込んで政治に結びつけ、内政干渉してくる
馬氏を苦々しく思っているはずだ。
馬氏は以前も中国の天安門事件やチベット問題に対して厳しく発言するなど、
人権軽視を批判している。ましてや任期中には統一しない、または50年間現状
維持だと言って、中国の意向とは違う動きがある。中国高官は、こうした馬氏の
意見や態度にどう対応すればよいのか、警戒心を抱く者が多い。
筆者は中国側要人の情報をいくつか弊誌で述べてきたが、今回の選挙でも中南
海では馬氏より謝氏の当選を強く望んでいた。もちろん胡錦濤主席も、台湾人の
謝氏なら「一つの中国」論で内政騒乱を台湾に向けることで鎮静できる。しかし
馬氏の本音は「中国国民党が台湾と『一つの中国』を統一する」ことだ。これで
は戦前の国共内戦の延長である。李登輝前総統は3月26日付産経新聞のインタ
ビューで「中国共産党は馬氏を支持していない」と述べている。
中台共生と和解
現在、全世界の国々や企業が中国経済の動向を注視している。表向きは発展し
ているかに見えるが、それと同時進行で中国社会の崩壊が始まっている。世界の
ルールや基準を順守しなかった分野で、中国の脱落は顕著だ。
中国もやっと国が重い腰を上げて、食品の厳しい検査に乗り出したようだ。台
湾問題でも中国は勝手に「一つの中国」と喧伝してきたが、このレトリックも化
けの皮が剥がれようとしている。胡錦濤政権は「馬英九の台湾」とどう向き合う
のか、頭の痛いところだ。
中国からすれば、台湾人は脅しに弱い相手だったが、今後はかつての政敵であ
る国民党政権となり、「嘘と脅し」が通用しない。その国民党のトップである馬
氏が、中華人民共和国の天安門事件やチベットの人権問題で批判を始めたのだ。
自由と民主主義、人権尊重の価値観を訴えて動けば、馬氏は中共の政敵となる。
馬氏は敵なのか味方なのか、中国にとって厄介な存在だといえよう。
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2008年3月28日金曜日
2008年3月27日木曜日
「台湾の声」【論説】日本と台湾の「戦後体制」
西村眞悟の時事通信より転載
台湾の総統選挙に関して、先に現地からの報告として謝長廷氏が、僅差で当選
するとの予測を述べた。見事はずれた。残念だ。投票率が予想以上に低かった。
そして、それ以上に八年にわたる陳水扁政権に対する台湾人の失望と批判の多さ
を見落としていた。この陳水扁氏に対する批判は爆発的に選挙結果に反映したと
もいえる。しかし、報告したとおり、台湾現地ではきわめて静かで平穏な選挙だ
った。
今までの政権に対する批判がでて、それが選挙結果に影響して政権が入れ替わ
る、というのは民主主義のサイクルである。この意味で、政権を自ら返上して二
〇〇〇年の総統選挙に出馬せずに民主主義のサイクルをさらに動かした李登輝前
総統にとっても自らが敷いた路線内のことが起こったといえる。
しかし、投票の二日前に謝長廷氏に自分の一票を投ずると言明した李登輝前総
統は、選挙結果に痛恨の思いで一夜を過ごしたはずだ。
台湾国家建設の歴史的な歩みが、その路線上に生まれた政権の腐敗によって頓
挫したのである。陳水扁政権の腐敗は誠に残念である。台湾にとって、そして、
日本にとっても。
そのうえで、前回と前々回の台湾総統選挙に関する時事通信を踏まえ、馬英九
新総統を前提にして次の通り述べておきたい。
まず、マスコミ論調の中には、「一中」つまり中国と台湾は一つを掲げる馬氏
当選を、中国は歓迎し中台対話が進み中台関係が正常化すると述べるものがある
。
これはとんでもないことである。中国が歓迎するとは中国が台湾を呑み込みや
すくなったということである。気長にじわりじわりと中台宥和が進められ、眠り
から覚めて気がつけば台湾はチベットと化している。その時騒いでも多数の中国
人が既に台湾に住み着いており、中国政府はチベットのように「内政問題」と強
弁したうえで安心して武力を行使して台湾を封鎖し台湾人を鎮圧するであろう。
そして、私たちの知っている我が国やアメリカにいる台湾の愛国者たちは「祖国
分裂のテロリスト」とされるであろう。
中台関係の正常化とは以上のようなことである。
次に、馬英九氏は、尖閣諸島は中国の領土として学位論文を書いた人物である
。中華民国意識を持ち反日的といえる。従って、中台の対話が進むとのんきに安
心している場合ではない。日台関係は極めて微妙な局面を迎える。
さて、李登輝氏は、十二年間台湾の総統を務めた。そして、一九九六年に総統
の直接選挙を実施して台湾に民主主義の大道を敷いた。このとき中国はミサイル
を台湾周辺に発射して威嚇した。そして、李登輝後も八年の台湾派の政権が続い
た。つまり、二〇年間、台湾は李登輝氏が敷いた台湾化への道を進んできた。陳
水扁政権の腐敗があったが、国民党時代の巨大な国家私物化的腐敗と比べれば子
供じみたものである。この間、台湾の国民意識が急速に育ち、今や国民のほとん
どが自らを台湾人と答えるようになった。
従って、自分は中華民国だと思っている中国国民党の馬英九陣営でも、中国と
いう言葉を使わず、「台湾」という言葉を使って自国を語っていた。国民党の選
挙事務所でも「台湾」という国名のみが掲げられていた。そして、経済人には一
貫して中国との経済交流の実利が説かれていた。この為に、国民党の馬氏が台湾
人の票を集めることができたのである。よって、「一中」を言う馬英九新総統も
「台湾の総統」であるといえる。
そこで、二〇一二年の総統選挙を中止するのならともかく、継続するならば、
国民党も台湾の民意を無視して進むわけにはいかない。仮に中国の圧力で次の総
統選挙が中止される事態になれば、台湾国内が収まるはずはない。ここに中国が
手を出せば、中国に対する国際的非難が巻き起こる。
ここがチベットと違う。従って、台湾は総統選挙を行う民主的国家であり続け
ることができる。
この意味で、台湾に総統の直接選挙の道を敷いた李登輝氏の功績はまことに偉
大である。近頃のノーベル平和賞であれば百個分に匹敵する。
ところで、何故台湾の選挙はあのように平穏で、国民党の馬氏が勝ったのであ
ろうかと考えていた。すると、漠然と、台湾にも一種の「戦後体制」があって、
それは国民党支配と不可分であり、未だ台湾はこの「戦後体制」から脱却してい
ないのだと思えてきた。
日本にも「戦後体制」があり、未だに脱却する気もない。この我が国の「戦後
体制」は、中国も含めて周辺は「平和を愛する諸国民」と思っている体制である
。従って、未だにこの次元の平和主義に漬かっている我が国が、「一中」など地
獄への道だと台湾に言う資格はないのだと思える。この平和主義のおかげで、我
が国の経済人も、国家の存立よりも日中友好の実利に群がるではないか。
要するに、他国の選挙に一喜一憂することなく、我が国と東アジアの安定は、
我が国が「戦後体制」から脱却して国家を取り戻すか否かにかかっていると覚悟
を決めねばならない。これが、友邦である台湾国民の安泰を確保する道でもある
のだ。
このことを、台湾の総統選挙が教えてくれた。
総統選挙の期間中に、台湾の将来と日本との友好を熱心に語ってくれ、我々の
台北滞在を有意義なものにしてくれた日本への好意あふれる台湾の人々に感謝す
る。
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2008年3月26日水曜日
「台湾の声」【論説】馬英九次期政権の何がまだ危険なのか?
彼の「反日」姿勢は是正されたが、中華ナショナリズムは骨の髄まで
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より転載
************************************
***
日本における馬英九(次期台湾総統)への危険視は急速に薄れた。当選を聞い
たとき、多くの日本人は失望を禁じ得なかった。しかし国民党圧勝の現実を前に
すれば、好むと好まざるとに関わらず、それが台湾民衆の選択である以上、受け
入れざるを得ないだろう。
当選の翌日に小生は馬英九との記者会見で『反日』に関して直撃した。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080325/22545
台湾人の思考回路は、率直に言って日本人のように短絡的二元的ではない。
論理的でもない。目の前の中国大陸の強大な市場と、軍事的脅威とアメリカへの
心理的依存。しかも目先の利益と日常の経済と、日本への依存度がありながらも
、しかも日本が好きだが、日本は政治的には何もしてくれないではないかとする
失望と焦り。
であるとすれば、当面の現状維持を台湾自らも勝ち取るには、民進党よりも、
ベテラン政治を歩むほかの政党でもよい、という輻輳した思考回路から馬英九へ
の期待が醸成された。
60歳代以上の台湾人に強く残る危機感は、わかい台湾人にはない。
台湾人意識が希釈化したのではなく、むしろ台湾人のアイデンティティは、近年
ますます強くなりながらも、それをうまく吸収できなかった民進党の選挙戦術の
あやまりが、国民党を中華思想の政党と考える前に執権党の復活を許したのだ。
産経新聞は3月26日朝刊トップで李登輝(前台湾総統)への独占インタビュ
ーを掲載し、「(統一をいう馬が新政権を担っても)『中国台湾統一』の加速は
ない」と明確に述べている。
コラム「正論」でも岡崎久彦氏は同様な判断に立って、あの結果は「一種の楽
観的見通し」の存在がある、と指摘している(産経、3月26日付け)。
馬英九は中華ナショナリズムの信奉者であるため、危機に遭遇すると大きな判
断ができない危険性が残存する。
しかしながら台湾民衆が「台湾人アイデンティティ」と同時に現状維持の選択を
するという絶妙なセンスを見せたのも、馬英九が基本的に親米であり、反共とい
う思想基盤のうえに、台湾の若者のあいだに急速に浸透したシビル意識(市民意
識)を刺激しつつ、反日姿勢をすくなくともポーズとしては捨て去り、そのうえ
で北京と協商のみの交渉をしようとしたところにある。
ビジネスマンの強大な支持があったのも、ビジネス志向、株式市場の回復が優先
だったからだろう。
国民党の新装なった本部へ行って驚いた。国民党本部は一流企業のオフィスのご
とし、熱烈な蒋介石ファンの、独特な愛国的中華主義の雰囲気はなかった。
また国民党の利益は北京の利益と大きく抵触するため、馬の目下の関心は国民
党の利益擁護だから、早急なる中台統一はない、むしろ遠のくとみる李登輝、岡
崎久彦両氏の分析は、それないに正しい。
台北滞在中に得た、信頼できる台湾筋情報では、馬英九は李登輝を尊敬している
という。李が最後の土壇場になるまで民進党支持を見送った理由のひとつに、馬
も粛萬長(次期副総統)も国民党時代の自分の後輩、教え子にあたるからだ。
▲チベットの虐殺は遠い世界の出来事
さて小生にとって最大の衝撃は大差による民進党の惨敗ではなかった。
あのチベットにおける中国共産党の暴虐が行われ、仏教徒への虐殺がおこなわれ
ている最中に、台湾総統選挙の争点が梃子となって、チベット問題が逆風を起こ
さなかったという、あまりにも現実的な台湾選挙の反応だった。
チベットの血の弾圧は台湾でも大きく報道され、日本には伝わっていない残虐な
映像がテレビに流れ、自由広場ではチベット人のハンガーストライキを支援する
多くの台湾人の輪ができた。
だが選挙結果にはすこしもチベット問題が影響したという形跡がない。
筆者は考えた。随唐の時代、チベットは杜蕃といい、いまのチベットから青海
省、四川省、甘粛省、峡西省などを勢力圏に、つまり当時は随唐とならぶか、版
図としては随唐よりも広い帝国、一時は長安を軍事的に陥落させたほどの大国だ
った。
それゆえに漢族はチベットの王に姫君を嫁がせ、宥和をえた。そのときの恐怖心
が漢族のDNAに残り、ロシアがいまも「タタールのくびき」を畏怖するように
、「チベットのくびき」という歴史上の感覚が残るのではないか。それは漢族と
しての外省人には、確認するまでもなく顕著である。
しかもチベットは現実に中国共産党の軍事的支配下にあり、そうではない台湾と
は根本の感覚が異なる。
▲北京五輪ボイコットを政治利用できるか
たしかに馬英九は「五輪ボイコット」を叫んだ。
精密にかれの発言をトレースすると、馬は次のように発言している。
「もし、チベットにおける情況がさらに悪化し、弾圧が拡大するとすれば、我
々は北京五輪ボイコットも選択肢の一つとして考慮の対象にする可能性を残して
おく」。
北京五輪ボイコットの選択の可能性を、すでにフランスの外務大臣が述べたが
、米国のブッシュ政権は慎重である。
日本政府は考慮にさえいれていない。
馬英九の持つ近未来の危険性は中台統一が究極の目的でありながらも、じつは
小生らの質問に答えた次の発言のなかにある。
「次の四年、希望的にはあと八年間で、わたしの政権ができることは限られてい
る。長期的戦略的な基礎を提示できるような努力をわたしは任期中にするが、理
想の実現は簡単ではない(つまり中台統一は自分の政権では難しい)。だから当
面は(ビジネスがしやすいように)中国との『和平協商協定』の締結を急ぎたい
」。
このようにふとした発言に含まれている中華ナショナリズム。なぜ李登輝氏の
ように「中国が民主化されたあとで、話し合いをすればいい」と言えないのか。
つまり馬の価値観のなかでは「民主」の上位に「中華ナショナリズム」があるこ
と、それが馬英九にまだ強固に残存する危険性なのである。
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2008年3月25日火曜日
「台湾の声」【読者メッセージ】台湾頑張れ4
台湾の声 編集部御中
いつも貴誌を拝読しております。
この度の敗戦は誠に無念であり、皆様の落胆がいかばかりかお察し申し上げます
。
8年にわたる民進党政権によって台湾人意識は高まり、より一層の民主化が成し遂
げられました。これらは評価すべき成果であり、多くの台湾人の誇りといえ
るでしょう。そうした意味で、総統選を通じて示された民意を私達は受け容れな
ければなりません。今後は捲土重来をはかり、中華文明の脅威に備える必要が
あります。
今回の敗因を分析すると、直接的には
(1) 一度も立法院を掌握できなかったこと
(2) 大陸志向の台湾経済界を敵に回したこと
(3) 政権内部が腐敗して国民の信頼を失ったこと 、が大きいと思われます。
(1) (2)については地方組織や経済界と深く結びついた国民党に利があります。民進党
は大衆を基盤とした政党であるため、これらの牙城を容易に崩せない事情
があります。そうした大衆政党が政権を維持するためには国家存立の明確なビジ
ョンを示し、清廉さを以て政権運営に当たる必要があります。だからこそ、
(3)は致命的なのであり、猛省が必要と思われます(過去の国民党の比ではないに
せよ)。政策ではなく、政治姿勢に敗れたとすれば言い訳は出来ません。
李登輝前総統が著書「最高指導者の条件(PHP)」で述べたように、政治に携わる
者にはその根底に信仰と哲学が欠かせないのです。
(1)(2)(3)を背景に、国民党は狡猾に選挙戦を進めました。2004年の総統選を反省
し、台湾人意識を逆手に取り、急速な統一政策を止めました
(放棄したのではありません)。政治の安定と経済的繁栄を優先して「現実的」
政策を打ち出せば、たとえ謝長廷氏が指導者に相応しくとも民進党に勝ち目は
なかったと思われます。
敗因の間接的原因についても述べたいと思います。これは歴史という時間軸のな
かで分析すればわかることですが、中華文明(=中華覇権主義)の興隆が影響
していると思います。中華文明は華夷秩序を以て政治的・経済的・文化的に覇権
をとなえ、周辺諸国にその恩恵を享受させ、服従を強いるのが特徴です。中国
による台湾併合の野望は、この文明の本能がなせる業です。反対に、台湾は民主
化を通じてこのような覇権主義を否定しており、それは台湾人意識の高まりに
も現れています。
確かに、中国共産党は権威主義(一党独裁)のもと人権弾圧を繰り返し、多くの
台湾人にとって受け容れ難い政治体制を採っています。しかし、台湾は全ての
面にわたって中国を拒めない状態にあります。経済的結びつきが強くなり、国民
生活に無視できない影響力を持つようになりました。これは日本やアメリカで
も同様です。重要なのは、台湾は(言語・宗教・芸能といった)文化面で中国と
類似性を持つが故に、中華文明の浸透力が強いのです。これこそが国民党の政
権奪取につながった最大の原因といえるでしょう。
中華文明勢力は決して台湾人の自決権を許しません。また、自由・人権・民主主
義という価値観も容認しません。それらは権威主義を否定し、中華文明の存在
を脅かすものだからです。
言うまでもなく、民主台湾と中華文明との共存共栄は幻想に過ぎません。国民党
の政策では一時の安寧を得られても、いずれ台湾に災いをもたらすでしょう。
それは香港の凋落や、チベット・ウイグルの悲劇を見れば一目瞭然です。今後の
台湾政治は国民党が行政・立法・司法を完全に支配し、暴走する危険すらあり
ます。それを食い止められるのは台湾人自身しかいません。民進党を始めとして
台湾建国派が成すべきことは、かつての民主化運動の精神に立ち返り、清廉
に、実直に、台湾の民主主義を守り抜くことではないでしょうか。
加油台湾!!
北海道に台湾領事館を!日台友好万歳!
ペンネーム:知床遙かなり
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「台湾の声」【緊急シンポジウム】台湾総統選後の東アジアと日本の国家戦略
□日時=3月29日(土)午後6時50分開演
□会場=杉並公会堂(荻窪駅北口から徒歩7分)
□登壇者と発言テーマ=
櫻井よしこ(台湾総統選後の東アジアと日本の国家戦略)
田久保忠衛(中国に狙われる沖縄と「沖縄独立論」の今昔)
恵隆之介(沖縄戦で日本軍は全力で県民を守った)
松本藤一(3.28集団自決冤罪訴訟大阪地裁判決の論理)
梅澤裕(冤罪訴訟の原告となって)
藤岡信勝(集団自決の真相と教科書検定)
高森明勅(司会・コーディネーター)
□第二部 シンポジウム
□主催=新しい歴史教科書をつくる会 □参加費 2000円
□開催趣旨=今、沖縄は狙われています。台湾総統選での国民党の政権奪取と、
沖縄集団自決冤罪訴訟判決を踏まえ、地政学的に重要な沖縄をめぐる問題を、各
テーマの第一人者が多角的・総合的に論じます。沖縄を軸にして日本国家のあり
方と教育の問題を考える必見のシンポジウムです。
□申込み方法=朝10時以降「つくる会事務所」まで電話
(03−5800−8552)にてお申し込み下さい。
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「台湾の声」【台湾人より】応援してくれる日本人に感謝その二
I am with you.
It's so important that we thank those Japanese friends who helped us.
It's sad about the result of Taiwan's election, but we still need to acknowledge, to thank, for those who helped us out, and to move on.
Amy Lin/NJ/USA
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2008年3月24日月曜日
「台湾の声」【台湾人より】応援してくれる日本人に感謝
今年、初めて台湾へ帰国し投票しました。
結果がわかった時、まず日本に応援して下さる日本人の皆様に申し訳ない
気持ち一杯です。
一所懸命ポストカード配布活動をして下さった皆様、街頭演説会を参加して下っ
た皆様、無条件で台湾を愛し下さる皆様・・言い切れない感謝と本当に申し訳ない
と申し上げたいです。
悲しい台湾娘
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「台湾の声」【4月10日】「中国」の実態を告発する国民集会
(大いに転送を)
北京五輪にNO! 世界最大の抑圧・侵略・汚染国家「中国」の暴虐を
許すな!
下記要領にて国民集会を開催します。ご多忙の折恐縮ながら、事柄の重
大性に鑑み、ぜひとも友人知人お誘ひ合せの上ご来場ください。
【と き】4月10日(木)午後6時半開会(開場6時)
【会 場】豊島公会堂(みらい座いけぶくろ)定員:800名
JR山手線池袋駅東口下車徒歩約5分
【入場料】無料
【登壇者】
加瀬英明(外交評論家)・陳惠運(帰化中国人食品ジャーナリスト)
・平松茂雄(中国軍事専門家)・ペマ・ギャルポ(桐蔭横浜大学教授)・相林(
中國民主運動海外聯席會議アジア代表)・殿岡昭郎(中国民族問題研究会代表)
・宮崎正弘(評論家)・大原康男(国学院大学教授)・有志国会議員・地方議員
ほか関係者を予定。(順不同)
主 催 「中国」の実態を告発する国民集会実行委員会 代表・加瀬英明
千代田区平河町2—16—5—302 高池法律事務所気付
電話03(3263)6041 FAX03(3263)6042
当日連絡先
080(5086)2965(藤本)
090(7725)6256(福永)
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2008年3月23日日曜日
「台湾の声」【講演要旨1月30日】「台湾の総統選」
【編集部】選挙前の明るくない予想でしたが、あえて選挙後に公表させていただきます。
時間 平成20年1月30日
講師/ 林 建良 『台湾の声』編集長
主催 時局心話会
1月12日に投開票が行われた台湾の立法院選挙は、全113議席中、国民党81議席、民進党27議席という結果に終わったのは周知の通りだ。
だが台湾の運命が決定的になったのは2005年6月10日、第7回の憲法修正の時だった。これによって選挙制度が憲法の中に組み込まれ、憲法改正にも党主導による党同士の力関係が作用するようになった。しかもその先、国民投票で過半数を取れば憲法改正も可決されるが、投票者の過半数ではなく「有権者の過半数」と定められてしまった。これで事実上、革命以外の手段での建国は不可能になったといってよい。
さらに陳水扁総統は選挙前に「選挙では50議席取ればよい、過半数までの残り7議席は後で調達する」と表明した。選挙以外の手段で議席を増やすと公言する人物が民進党の指揮を執って勝てるわけがない。その結果が今回の惨敗なのだ。
3月22日の総統候補(民進党)である謝長廷氏は、まれに見るほど聡明な人物だが、計算高い一面もある。資質からすると彼の方が断然上だが、選挙にはむしろ愚直さが必要である。選挙においては「天の時、地の利、人の和」が必須となるが、選挙区制度など「地の利」では国民党が断然有利だし、民進党には「人の和」がなく、党内で足を引っ張り合っているのが現状だ。また李登輝前総統率いる台連と民進党の間でも根強い対立があり、国民党に対して共同戦線を張れる状況にない。
もし謝氏が総統選に大差で敗れれば、台湾の民主化は少なくとも20年は後退するだろう。だが勝利を収めても、立法院の4分の3を国民党が占めている以上、国民党の主張がほぼ全面的に通り、中国化が促進することは目に見えている。
民主主義国家としての台湾を守るには「民進党が接戦で負ける」しかない。そうすれば民進党の旧勢力が一掃され、世代交代が見込める。そして「社会運動としてのエネルギーが温存される」からだ。しかしいずれにしろ、ここ数年は台湾経済の中国化が促進され、アメリカや日本にとっても由々しき事態となるのは避けられないと思われる。
現制度での建国が不可能になった今、体制内のみならず体制外でも運動を展開する必要がある。建国を政治上の泥仕合として終わらせるのではなく、今こそ原点に立ち返らなければならないのだ。
当日は各方面の多数の参加者が集い、先行きが明るいとはいえない、しかし力に満ちた林氏の講演に耳を傾けた。
(文責/高村 時局心話會事務局)
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2008年3月22日土曜日
「台湾の声」 3/22 チベット弾圧抗議デモ第一弾 中国大使館へ直接抗議行動
宮本将英
打倒中国共産党
http://dadao.kt.fc2.com/
下記のページで22枚の写真をご覧いただけます。
http://dadao.kt.fc2.com/tibet39.htm
中国共産党によって植民地支配されているチベットで、中共軍による弾圧が強まる中、3
月22日、主権回復を目指す会の呼びかけで抗議行動が行われた。
午前11時半、六本木ヒルズ前で集会が始まり、主権回復を目指す会の西村修平氏、自由
チベット協議会の酒井信彦氏、外国人参政権に反対する会の村田春樹氏らが演説を行った。
それぞれの弁士は中共によるチベット大弾圧の残虐性を糾弾したり、中共によるチベッ
ト植民地支配の不当性を説明したりした。演説が終わると、見物している人たちからも
拍手が沸き起こった。
正午ごろ、いよいよ中国大使館へ向けてデモ行進が始まった。約200人の参加者は、「中
共はチベットから出て行け!」「中共はチベット虐殺をやめろ!」とシュプレヒコールを
叫びながら行進を続けた。
出発して間もなく、中国共産党のカルト教育に洗脳されたと思われる中国人が、「虐殺は
ない、チベット独立派が暴動を起こしたんだ」などとほざいたため、ちょっとした小競
り合いになりかけたが、警察官が彼を排除したため、すぐにデモ行進は再開した。
テレビ朝日通りを行進する途中で、先ほどまで中国大使館前で抗議行動を行っていたチ
ベットサポーターたちとすれ違い、彼らは我々に手を振ってくれた。この1週間東京で
は様々な団体によって抗議活動が行われたが、中共による大虐殺への怒り、自由と正義
を愛する気持ち、そしてこのままでは日本も同じ運命を辿るという危機感は共通してい
るようだ。
案の定、中国大使館までまだ100メートル以上離れた地点で、警察が道路を封鎖した。
平和的なデモ行進を妨害する警察のやり方に、参加者は「警察は中国に屈するのか!」
「法的根拠を示せ!」「警察は中共のチベット虐殺を支持するのか!」と抗議の意思を示
した。
結局5人ずつ大使館前まで行くことを許された。まず最初に行くことになった西村氏ら
5人はそれぞれが抗議文を手にし、さらに警察官に荷物検査などをされたうえで、大使館
へ向った。さらに次の5人も警察官に荷物検査をされたうえに、最初の5人が戻ってく
るまで待たされていた。これでは全員が抗議文を渡すのにどれだけ時間がかかるのかわ
からない。残された百数十人の人々は、精一杯大きな声で、シュプレヒコールを叫び、
中国共産党のチベットに対する残虐行為を糾弾した。
時間は午後1時近くなり、もう一つのチベット弾圧抗議デモに参加するため、私は結局
抗議文を渡さないまま現場を離れた。
デモ行進の参加者たちは、屈強な正義感と、中国共産党の極悪行為に対する激しい怒り
が感じられた。一日も早くチベットや東トルキスタンが中国共産党の圧制から解放され
てほしいと思う。さもなくば次は台湾、その次は日本が同じ運命を辿るかもしれないのだ。
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「台湾の声」【負けた】謝長廷氏大敗!!
この大負けを酒に浸けて、飲み干したい。
明日、酔いが醒めたら、じっくりと考えたい。
台湾の将来を!!
「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
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「台湾の声」【チベットの哀しみ】挑発に怨念噴出
産経新聞2008年3月22日
中国のチベット族居住地域で騒乱が続発している。チベット自治区の区都ラサだけでなく、四川省など近隣の各省に住むチベット族も中国当局とぶつかっている。チベット族はいま、なぜ、このような行動に出ているのか。チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世のアジア・太平洋地区担当初代代表を務めたペマ・ギャルポ桐蔭横浜大学法学部教授(54)は21日、産経新聞に対し、中国共産党の支配下に入ったあとのチベット族の悲惨な境遇を振り返りながら、今回の騒乱に至る経緯などを、以下のように説明した。
ペマ・ギャルポ桐蔭横浜大教授
≪チベット族釈放要求≫
今回の騒乱は3月10日から始まった。1959年、ダライ・ラマがインドに亡命することになったチベット決起(動乱)からちょうど49年にあたるこの日、ラサでは僧侶たちが平和的にデモを行った。それが、死者99人(チベット亡命政府発表)を生む騒乱に拡大した。
中国の温家宝首相はダライ集団が背後で糸を引いた「計画的」な騒乱と主張している。だが、報道された映像をみると、僧侶は素手で店を壊したり、石を投げたりしていた。計画的であれば何らかの武器を持っているはずだ。むしろ、当局側の挑発行為があり、民衆が興奮したのが事実だろう。
3月10日のデモは毎年、中国国内のチベット族、海外のチベット人亡命者で行われている。だが、今年はこれまでのデモと違う点が3つあった。
昨年10月、ダライ・ラマは米議会から「議会名誉黄金章」を受章した。チベットでは祝賀会が全土で行われたが、この際、多くのチベット族が当局に逮捕された。今回のデモは拘束されているチベット族の釈放を求めることが目的のひとつだった。
≪五輪を政治利用≫
今年開催される北京五輪のため、中国政府がチベットを「政治利用」していることに対する抗議の意味も強い。聖火リレーがチョモランマ(英語名エベレスト)を通過するのはチベットが中国の一部であることを誇示するためだ。チベット人にとっては、それぞれの山に神がいる。山に登られること自体、抵抗がある。五輪のマスコットに使われているのはチベットの動物であるパンダとチベット・カモシカだ。チベットにおける植民地支配を正当化するために、オリンピックを政治の道具にしている。
ラサまでのびる青蔵鉄道の開通により、チベットへの「経済的侵略」が明確になってきたことに対する反発もある。鉄道開通によりコレクターらが文化財である寺院の骨董(こっとう)品や床の石などを買いあさっていく。だから、中国人の店が抗議対象になった。
また、チベットは希少金属などの鉱物資源も豊富だ。鉱物資源は青蔵鉄道で運ばれているともいわれている。鉄道は軍事的な目的も大きい。中国はソ連解体時、ミサイルを列車に乗せる技術を入手したといわれている。
中国政府は五輪開催が近づいてから問題が起きるより、3月10日のタイミングを使って、捕まえるべき人を捕まえようとしたのではないか。そのために、平和的なデモに対して挑発的な行為に出て、騒乱を引き起こしたと考える。
中国政府は暴動のシーンを発信することで、「仕方なく騒乱に対処するのだ」との印象を世界に与えようとしたのだろう。だが、チベットには観光客がいた。IT(情報技術)も発達していた。中国が伝えようとしたことと異なる事実が世界に流れた。
≪雰囲気一転≫
私は53年6月、現在の四川省の甘孜(ガンズ)チベット自治州で生まれた。父はもともとは藩主ということもあって、51年に北京政府と結んだ条約に基づいて、県長にもなった。中国側は、私のことを「藩主の子」と呼んでかわいがってくれた。家に毛沢東、劉少奇、ダライ・ラマ、パンチェン・ラマの4人の写真が掲げられていたのを覚えている。人民解放軍の兵士たちも一生懸命、人を助けたり、私にもあめ玉をくれたりしたことがある。
ところが、それがある日、雰囲気ががらりと変わる。子供でも、毛沢東の写真に、傷を付けたりして喜ぶようになった。
私の村では水道がないので、水を川からくんでくるのが、女の子の日課になっていたが、中国軍に届け、乱暴されたことが何回かあって、それがきっかけで、摩擦が起きた。そこで村民が立ち上がった。
■中国指導部 決断の時
■交渉相手 ダライ・ラマだけ
それは1958年ごろだったと思う。逃げながらラサまで行った。何度か、追っ手の中国軍と戦い、村を出た当初は200人の大きな集団だったが、インドにたどりついたときは20人ぐらいになっていた。後から聞いたら、残ったおばあさん2人と兄2人は、餓死したり、射殺されたりしたらしい。
人々の話では、一番つらかったのは、人民裁判で、奥さんがだんなさんを、子供が親を告発したりしたことだという。人民裁判では、殴ったりしなければならなかった。
私の父には、妻が2人いた。つまり私には母が2人いた。年下の母は共産党に非協力的で、騒乱を起こしたうちの一人だ。
その下の母にはそっくりのいとこがいて、(中国軍は)その人を殺し、見せしめにした。下の母を捕まえ、処刑したように見せかけたらしい。
80年5月、パンチェン・ラマと北京で会ったとき、一番つらかったのは刑務所で人としゃべれなかったことだと言った。彼は19年間、独房に入っていたので、私たちと会ったときも言葉がたどたどしかった。
チベット全土では、家族が全員そろっている人はいないと思う。必ず、誰かが犠牲になっている。
≪住職・檀家の関係≫
中国はあれだけ広いのに、北京の時間で国を統一している。チベットと中国は、2時間半から3時間の時差がある。しかし、北京の時間がチベットに適用されているので、チベットではまだ明るいのに、夕食を食べなくてはいけない。これが現実で、いかに北京中心の価値観が押しつけられているかということだ。
チベットの面積は中国全体の960万平方キロメートルのうち、250万平方キロメートル。チベット人居住地域にはチベット自治区とかチベット自治州とか、「自治」という言葉がついている。
チベットは2100年以上の歴史を持つが、チベット人が一番誇りに思っているのは吐蕃(とばん)王朝(7世紀ごろから9世紀中ごろ)の時代だ。チベットが中国にかいらい政権をつくっていたこともあった。
中国とチベットはお互いに、仲良く過ごした時代もある。最も仲が良かったのは、元の時代である。それから、明、清の時代と続くが、この時代はたとえば、ナポレオンが皇帝になっても、ローマ法王の認知と後押しがなければ、国民に対して正統性をもてないように、中国の歴代皇帝とダライ・ラマもそんな関係に似ていた。檀家(だんか)(中国)とお寺の住職(チベット)の関係だった。
檀家が偉いか、住職が偉いかは時代によって違うが、チベット側からすれば、自分たちの方が聖職で偉いと思っていた。こうした関係は1900年代まで続いた。
30年代、チベットには中国の支配が及んでいなかった。その証拠に、日本と中国が戦争したときに、チベット人は中国からかり出されなかった。49年に中華人民共和国が成立すると、朝鮮戦争のどさくさにまぎれ、人民解放軍がチベットに入ってきた。
≪権威、いまだ健在≫
中国政府は、今回のチベット騒乱を押さえ込んで正常に戻ったと言っているが、実際にしているのは、戦車を町に巡回させ、公安当局が疑わしい人物を捕まえることだ。これが世界中に知られれば、波紋を呼び、問題となるだろう。チベット族の運動の火山帯は活発であり、今後、どういうきっかけで何が起こるかは予想がつかない。そうならないためにも、中国政府は一日も早くダライ・ラマと真剣に対話すべきだ。
チベット側に、ダライ・ラマが重視する対話などの穏健路線に不満を持っている人がいるのは事実だ。しかし、最終的にはダライ・ラマに逆らうわけにはいかない。ダライ・ラマの権威は、いまだに健在といえる。
中国政府はダライ・ラマの悪口を言っているが、もしダライ・ラマに何かがあれば、中国政府は交渉相手がいなくなるということを真剣に考えるべきだ。ダライ・ラマの下で問題を解決できれば、後遺症を残さない軟着陸が可能だ。
ただ、中国側との話し合いがうまくいっていないのは、中国指導部のなかに完全に強い人がいないためだ。これまでの話し合いのなかで、かなり具体的な話はできているが、それを実行するには決断が必要だ。その決断ができないから、話し合いを引き延ばしたりするのではないか。
もしかすると、中国指導部は現場の状況を把握していないのかもしれない。胡錦濤総書記(国家主席)は昨年秋の中国共産党大会で2期目を迎えたが、彼が力を持てば、チベット情勢は変わるかもしれない。
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