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  • 2009年4月1日水曜日

    「台湾の声」台湾人の屈折した思い

    台湾人の屈折した思い
                        多田恵

    台湾プロ野球の始球式に出た馬英九総統、観客席で観戦する総統婦
    人。

    自分を象(かたど)った、布袋戯の指人形をはめて、台湾語で喜々
    として演じている馬英九氏を見ていると、必ずしも悪人には見えな
    い。

    その馬総統が、228記念集会に出ると、必ずといって良いほど、
    抗議の野次が飛ぶ。

    台湾には、もともと中華民国籍を持つ中国人と、行政文書によって
    中華民国籍を「回復」させられ、サンフランシスコ講和条約で日本
    国籍を離脱した台湾人がいる。

    馬総統は中国人。野次を飛ばすのは台湾人と見て間違いないだろう。

    第三者から見ると、台湾人の野次は礼儀を欠くようにも見える。


    台湾に住み台湾人の妻を持つ日本人から次のような話を聞いた。

    彼が台湾で知り合う日本人で、子供を現地の学校にやって、イジメ
    に遭ったという不満をもらす人が、何人かいるのだという。

    中国人教育の所為だと思われるかもしれないが、彼の子供をはじめ、
    いじめられていない日本人児童も確かにいるのである。

    多くの台湾人に言わせれば、台湾ではイジメがないという。確かに、
    台湾の人々は、自分と他者が異なっていても、同じ仲間と認めて、
    それを大切にするという側面もある。


    彼は、同じ日本人の子供でも、どうして違いが出るのか、疑問を持
    ちながら台湾に住む日本人配偶者を観察していた。

    そしてある仮説に達した。

    台湾語に対する親の態度の違いである。ここからは、台湾語という
    言葉を、ホーロー語、ハッカ語、原住民諸語の総称として用いる。
    ただし、中国語(いわゆる北京語)は含まない。

    子供がイジメを受けると話す、日本人の親は、中国語が出来たとし
    ても、その眼中に台湾語が存在しないかのような態度をとり、台湾
    語で話しかけられても、理解できず、聞こえない振りをして済ませ
    るのだという。

    一方、子供がイジメに遭わないと話す日本人は台湾語が出来るとい
    うのだ。


    日本人が台湾を「経営」していた当時、台湾に住む日本人の多くは
    日本語で用を済ませることが出来た。

    ただ、教育、司法の面、また、台湾人の民族運動を警戒する警察な
    どでは台湾語の研究・訓練が必要だった。


    戦後、中国人が日本人に取って代わった。いわゆる「外省人」であ
    る。

    彼らは概して「台湾の米を食べ、台湾の水を飲み」ながらも、台湾
    語を学ぼうとしなかったと言われる。それが「外省人」のイメージ
    である。

    そういった「外省人」、つまり中国人を、台湾人は「チャンコロ」
    とか「支那猪」と馬鹿にすることで、溜飲を下げている。


    この中国人と台湾人の対立は、建前では隠されているかもしれない。

    しかし、最近台湾を唖然とさせた、「外省人」外交官・郭冠英によ
    る台湾人侮辱投書事件、そしてそれについて全く反省の姿勢がない
    彼の言動こそ、台湾に住む中国人に台湾人差別がいまだに残ってい
    ることを証明している。

    台湾人は自らを軽蔑する中国人を軽蔑するのである。このような中
    国人は、自ら台湾人との間に壁を作って、敵対したのだ。


    馬総統に罵声を浴びせる台湾人を、日本人が肯定しづらいのは、な
    ぜだろうか。

    日本人が他者の支配を受けた経験といえば、連合軍の進駐であろう。
    期間は限られ、間接的統治であったから、個々の日本人が米兵から
    屈辱的に扱われた経験は、比較的少なかったといえるのではないか。

    他方、台湾人は、長い間、生活の隅々にまでわたって、「外省人」
    の支配下に置かれ、侮辱を受けた歴史を持っている。

    日本人はその屈辱をどれほど体感できるであろうか。


    台湾人は、もし相手が自分たちを尊重しないならば、その相手を、
    せめて裏では軽蔑するのである。台湾人の性格の一つとして「面子
    を重んじる」というのが言われるが、歴史的経緯から、尊敬されて
    いないということを感じる感覚が研ぎ澄まされているのかもしれな
    い。

    子供のイジメは、それが現れたものと解釈できる。


    台湾人は、長きにわたる不当な支配の記憶が癒されることが必要な
    のである。それを求めることは、決して過分な要求ではない。

    この和解が実現するにはどのような方法があるだろうか。

    (1)、戦後日本人が求められたように、中国人が台湾から引き揚
        げる。

    (2)、中国人が台湾人と同じ立場に立つこと。支配者としての優
        越感を脱ぎ捨てて、台湾文化と融合し、「新台湾人」にな
        る。

    (3)、台湾において、台湾文化が、中国文化よりも優先され、台
        湾人が尊重されるような政策を採ること。

    第三の方法は、現状からすると、変化が多すぎると思われるかもし
    れないが、不当に得たものを原状回復するのは当然である。


    台湾人は、台湾語を学ぶ外国人に対して「台湾語なんて学んで役に
    立つの?」と、自らの言語について否定的に捉えているかのような
    発言をしたり、あるいは、台湾語を大切にしていないようであった
    りする。

    そんな態度を見て、台湾語推進派の私としてはもどかしく思うこと
    が少なくない。

    しかし、映画『海角七号』に見られるように、台湾語抜きの台湾は
    ありえない。

    言語のみが唯一の指標とは言わないが、日本人や中国人が、これま
    でにいた、統治者としての高みから台湾を見下ろすのではなく、階
    段を下りて、台湾人と苦楽をともにするほど、本気で台湾のことを
    考えているのかどうか、台湾人は、そっと観察しているのではない
    か。

    初対面の台湾人に台湾語で話しかけるて、「台湾語できるの?陰口
    叩けないなあ」と言われた経験を持つ日本人は多い。

    この言葉は、百パーセント冗談だと言い切れるだろうか。台湾語は
    台湾人が仲間を見分ける印なのだ。


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