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  • 2008年11月25日火曜日

    「台湾の声」【李登輝氏講演録】「台湾の国家主権と安全」

    【李登輝氏講演録】「台湾の国家主権と安全」フォーラム講演

                     李登輝前総統

    2008年10月25日台北・圓山大飯店にて (群策会主催)

    ●全国民で監督し、主権を放棄して「08コンセンサス」を定着させるを防げ

    ご来賓の皆さん、本日のフォーラムの登壇者の皆様、メディアの皆様、そしてお集まりの皆さん、こんにちは。

    初めに、群策会が催す「台湾の国家主権と安全」フォーラムにご参加いただき、感謝いたします。

     今年の5月20日以来、台湾の国家主権を放棄するような馬政府の数々の言行により、台湾はすでに中国に引き込まれるという厳重な危機的状況に陥っています。中国の海峡両岸関係協会の陳雲林会長が来台しようとしていますが、もし国民が馬政府への監督を強化せず、その自己矮小化に強い抗議の意志を表明しなければ、今回の双方による台北会談では、馬政府の主権放棄の動きは極めて明白になり、「92年コンセンサス」の虚構よりも恐ろしい「08年コンセンサス」を生むに至ることでしょう。


    ●馬政府の両岸の位置付けは虚構の「92年コンセンサス」よりも不断に後退

    所謂「92年コンセンサス」は、私は公職にあるときの話ですので、その経緯についてはよく知っています。事実は一つだけです。それは両岸の間で「92年コンセンサス」などまったくなかったということです。この問題での歴史的真相に関しては、台湾団結連盟の黄昆輝主席が当時行政院大陸委員会の主任委員でしたので、後ほど彼から詳しい説明があることでしょう。

    そのほか、馬英九氏も当時は大陸委員会の副主任委員でしたから、やはりこの歴史事実のことはよく知っているはずです。ただ残念なのは、馬政府が「両岸関係の位置は最も高い」と称し、「台湾経済は必ず中国に依存しなければならない」との神話を持っていることです。馬氏は総統就任演説で虚構の「92年コンセンサス」「一つの中国の定義は各々が述べる」を基礎として対岸と週末チャーター便の直航と中国人観光客の来台の問題などを協議すると表明しました。
     しかし5月20日以降の事態の発展は、虚構の「92年コンセンサス」を承認しただけにとどまらず、馬政府が両岸関係の上で後退していることを証明しています。先ず馬先生の政治的表明についてみて見ましょう。

    1、両岸関係は「国と国との特殊な関係ではない」
    2、台湾が国際組織に参加する際に最も好ましい名義は「チャイニーズ・タイペイ」
    3、「台湾と大陸はともに一つの中国に属する」、台湾は一つの中国の下での「台湾地区」
    4、「台湾の国連加盟」や「中華民国の国連復帰」を推進せず、ただ「国連の専門組織の活動に参与する」ことだけを求める
    5、「外交休戦」、「両岸関係の位置は外交政策よりも高い」

    以上の例から見ても、彼らがすでに所謂「92年コンセンサス」を飛び越えてしまっていることがわかるでしょう。

    ●1991年の憲法修正以来、両岸関係は国と国との関係に定まっている

    皆さん、1992年に「中華民国在台湾」は一つの主権独立国家であり、「台湾地区」ではないということが、2300万人のコンセンサスになりました。歴史を振り返って見ましょう。1949年から今日まで、中華人民共和国は中華民国所轄の領土をいまだに統轄していません。一九九一年の憲法修正で、私たちはすでに憲法の効力が及ぶ地域を台湾に限定し、中華人民共和国のその領土統治権の合法性も承認しました。1992年の憲法修正では、さらに総統と副総統は人民の直接選挙で選ばれるものとなり、国家機関は台湾人民だけを代表するものとなり、国家権力の正当性も台湾人民だけが与えるものとなりました。中国大陸の人民とは一切関係はありません。そのため私はかつて、一九九一年の憲法修正以来、両岸関係は国と国との関係と定まったと強調したのです。

    ●馬政府の政策の錯誤は中国の「台湾は中国の一部」の宣伝を助長する

     現在、馬政府の誤った政策は、両岸関係を「国内問題」としてしまい、中国の「台湾は中国の一部」の宣伝を逞しくさせているとともに、中国に台湾併呑の「得がたい歴史的機会」をもたらし、助長しています。皆さんがご存知の通り、両岸関係が一度「国内関係」へと戻れば、それは国共の「内戦状態」に戻ることを意味し、「中国代表権」が北京にあることが国際社会で普遍的に認められている今日、台湾は当然のように中国の離反した一省と見做されることになります。従って馬政府の人々は、つねに「中華民国を防衛しろ」と叫びながら、実際に行っていることと言えば「中華民国を消滅させろ」であり、台湾を消滅させようとしていることになります。

    ●両会の民間協議を国と国との協議に換えよう

     総じていうなら、両会、または両岸の協議は、先ずは対等な国と国と言う基礎に立ち、協議前から自国を矮小化してはならないし、さらに台湾の国家主権の侵害や国家の地位の問題について密談してもならないのです。最近馬政府が相次いで提示した両岸平和協定や香港、中国間での経済貿易緊密化協定(CEPA)の模倣などは、明らかに台湾の主権の改変に関わるものです。しかし海峡交流基金会であれ、馬政府であれ、国共フォーラムであれ、そのようなことをする権限はありません。なぜなら全台湾人民の信任と付託を受けていないからです。

    それから、政府はこれまで海峡交流基金会を通じ、民間団体の名義で中国の海峡両岸関係協会と交渉を進めてきましたが、これはまったく政治の現実からかけ離れています。かつて我が国には「三つのノー政策」があり、政府と対岸政府とはお互いに往来していませんでした。そのため海峡交流基金会が設置されて政府の委託を受け、両岸の人民交流の事務的な問題を単純に処理していたのです。ところがそのような政策的な背景は、とうの昔になくなっています。台湾と中国との交流の状況は複雑化に向かっており、ややもすれば政治、経済、社会、国防安全問題にも関わるようになってきています。もはや純粋な事務レベルを超えて全国民と国家全体の安全利益と緊密に関わるようになり、海峡交流基金会に与えられた職権だけでは処理できなくなっているのです。また海峡交流基金会は一民間機構です。政府の委託を受けていますが、個人利益、財団利益、党派の利益を生んだり、さらには国家利益を損う可能性があるものです。そのようなわけで現段階における海峡交流基金会の存在は、政府と民間が重複しており、政府が両岸交流で発生している構造性の変化という事実を無視している�ことを暴露しています。さらに対外的に台湾と中国は国と国との対等な関係であることを鮮明にすることもできないし、「台湾は中国の一部」に対してはっきりと反駁することもできないし、自ら「一つの中国」の苦境に陥らせないようにすることもできません。このため、海峡交流基金会の時代にはピリオドを打ち、民間協議から政府と政府による直接交渉へ移行させることが求められるのです。

    ●国家主権は国民全体に帰属する。ただちに鳥籠公民投票法の修正を

     両会による協議再開は、存在しない「92年コンセンサス」に基づいています。馬政府は再三にわたって国家主権を譲り渡して中国に迎合しようとしています。このような主権放棄の行為は自ら台湾の国家的地位を蚕食し、いずれは国家を危機的な境地へと追いやるもので、全国民には受け入れられないところです。皆さん、台湾は一つの民主国家であり、国民主権の原理に照らせば、「主権在民」、つまり主権は国民全体に帰属するものです。

    3月の総統選挙で、台湾人民は馬英九氏を選出しましたが、だからといって彼に国家主権の放棄し、あるいは台湾の国家主権を一つの中国に溶け込ませるような権限を付与したわけではありませんでした。700万人以上が馬氏に投票しましたが、それはこの「人」を選んだのであり、「政権交替」を望んだからであって、「国家」を選んだのでもなければ、「主権交替」を行おうとしたわけでもないのです。馬氏は法律を学んだ人ですから、「台湾の前途は2300万人の台湾人民が決定しなければならない」ということは、誰よりも知っているはずです。

    我が国の主権が国民全体に帰属している以上、国家主権に関わる問題の最終的な決定権は国の主が握っているのです。少なくとも1991年以来、我が国は2300万人によって構成される国家になっています。もしこれに変更を加えるのであれば、その最も民主的な手段は、公民投票を行って、主権保持者によって決定すること以外にありません。個人や政党が決定するべきものではないのです。そこで最も重要なことは「鳥籠公民投票法」を修正して投票のハードルを下げ、政党や立法院ではなく、人民を主体とするようにしなければなりません。このようにして初めて本当の民意が反映され、台湾は完全な「民主国家」となることができるのです。

    ●中国傾斜による国家安保システムからの離脱は危険極まりない

    「台湾海峡の現状」から見れば、台湾は中国とは別個の独立した国家です。客観的な国家の条件も完全に備えています。ただ多くの国がこれをまだ承認していないだけです。このような「台湾海峡の現状」に関し、国際社会は「一方的な変更」を許そうとしません。なぜならそれはアジア太平洋地域の安定、安全と平和、周辺国家の共同利益に関わることだからです。このような状況下で、中国は一方的に現状を変更することはできません、たとえ国共が手を結んで現状変更を行うことも、国際社会は許しません。とくにアメリカと日本という利害関係を持つ主要な国はそうです。そのため台湾の前途は、国際システムという広いレベルから考えるべきで、両岸関係だけに限って考えることは絶対にできません。台湾海峡の平和は、絶対に「平和協定」の調印だけで保障されるようなものではありません。そのような考え方はあまりにも天真で愚か過ぎます。もし馬政府が中国傾斜を押し通すなら、それは台湾を国際的な安全共同保障システムから離脱させるものであり、極めて危険です。

    ●国家主権と個人、家族の生命は大きく関係している

     皆さんは決して、私の話を聞いて国家主権は国家安全だけに関わる問題などと思わないでください。最近発生した毒入り粉ミルクや毒入り膨張剤の事件は、まさに国家主権を守ることが個人の生命と大きく関わっていることを教えてくれます。たとえば台湾が主権を中国に吸収され、中国の地方政府となってしまった場合、毒入り粉ミルクのような事件の処理については北京にお伺いを立てなくてはならなくなるでしょう。これでは台湾人民の健康や生命は保障されません。だから国家主権の問題は一般庶民の生活とは関係のないなどと考えてはならないのです。関係はあるのです。毒入り粉ミルク事件で、主権を守ることは健康を守ることだと理解できるはずです

    ●台湾の価値観を確立し、公平正義と美に向かう国へ

    皆さん、台湾は2300万人の台湾であり、決して胡錦濤、馬英九の台湾ではありません。台湾の前途は必ず2300万の台湾人が決定するべきもので、決して胡錦濤、馬英九が決定するものではありません。台湾の主である皆さん、私たちは何としてでも馬英九氏に台湾を売り飛ばさないよう強く要求しなくてはなりません。台湾を正常な国へと向かわせることが私たちの崇高な理想です。私たちは公平正義の国を打ち立てなくてはなりません。「中国的価値観」とは異なる「台湾的価値観」を打ち立てなくてはなりません。私たちの望む新国家は、台湾へのアイデンティティ、公平正義を尊ぶこと、清廉自律、土地を愛することなど、これらすべてが含まれるものでなければなりません。皆さん、馬政府の中国傾斜は恐ろしいことですが、台湾の主権が腐敗した人間の責任逃れの口実になることも恐ろしいのです。内外からの挑戦に直面した私たちは「公平正義があれば救われる」のです。このようにして初めて、私たちは自分自身、そして子孫に対して「台湾は必ず世が羨む公平正義の国家、美しい故郷になる」と誓約することができるのです。

    最後に私はここで、本日午後に行われる「邪心に反対し台湾を顧みる」大デモ行進に奮って参加してください。皆で立ち上がって、実際行動で台湾の国家の主権と安全を守りましょう。

    ありがとうございました。本日のフォーラムの成功と、皆様のご健勝をお祈りします。

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