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  • 2008年9月29日月曜日

    「台湾の声」【連載】日本よ、こんな中国とつきあえるか(24)

    【連載】日本よ、こんな中国とつきあえるか(24)
        台湾人医師の直言

    (転送転載自由)

    出版 並木書房(2006年7月)
    著者 林 建良

    http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%88%E3%80%81%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%A8%E3%81%A4%E3%81%8D%E3%81%82%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%8B-%E6%9E%97-%E5%BB%BA%E8%89%AF/dp/4890632018/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1208414945&sr=8-1


    第4章 悪の元凶・中国帝国主義はこう潰せ!
           
       真実を中国人に教えれば中国は内部崩壊する

    2、アジアの覇権をめぐる日本・台湾vs中国の戦い

    ●アジア情勢にまったく無関心な日本人

     日本はこれまで「平和ボケ」と言われつづけてきた。なぜそう言われてきたのかといえば、二つの理由が考えられる。一つは、日本はアメリカに守られてきたため安全保障について考えなくてもよかったこと。もう一つは、先の大戦についての贖罪意識から、戦争や紛争という言葉が日本人の頭から消されてしまったことである。

     確かに日本は戦後六〇年の間、外国と武力衝突したことはない。それを誇りにもしている。この間、アジアでは朝鮮戦争をはじめベトナム戦争や中越戦争、アフガニスタン紛争、イラン・イラク戦争などが次々と起こっている。

     日本にも大なり小なり影響はあったが、日本がこのような戦争に巻き込まれなかったのは、なにもアメリカのお陰ばかりとは言えない。日本自身が紛争を避けるべく手を尽くした側面も見逃してはいけないだろう。たとえば領土問題では、尖閣列島や竹島、北方領土に関して、問題を先送りにしたり固定化してみたり、紛争を起こさないで済ませてきた。

     しかし、現実は紛争が起こる前に、日本は相手国の条件を呑んでしまったという方が正鵠を射ている。竹島は韓国が武装占拠し、北方領土にはロシアが居座りつづけている。尖閣列島はまだかろうじて保っているが、中国はすでに国内法で領土に組み入れてしまっている。つまり、戦争はやっていないが敗戦という結果を受け入れていたのである。それゆえ、このような平和は相手の都合を一方的に認めた平和であり、決して紛争は起こさなかったものの、国益を十全に守ってきたとは言いがたい。

     その点で、今の日本人はかなり錯覚して生きているところがあるようだ。日本人はなんとなく毎日同じような時間に出勤して、仕事をして家に帰ってくる。何事もなく、毎日同じような生活を送っていて、まったく平和な日々を送っている。日本人はアジアで起こっていることなどには、ほとんど無関心と言ってよい。日本人の目には、外部のことはなにも変わっていないように見えるからである。

     しかし、それは日本人が関心を示さないから知らないだけであって、何も動いていないわけではない。それどころか、目まぐるしく激しく動いているのが現実なのだ。私は台湾出身の一外国人として、日本人にはぜひアジアに目を向けてもらいたいと願っている。

    ●中国が元凶の五つの危機

     現在、アジアには少なくとも次の五つの危機があると考えられる。

    (1)領土紛争
    (2)資源の争奪戦
    (3)環境汚染問題
    (4)犯罪の輸出
    (5)経済秩序の崩壊

     第一の「領土紛争」であるが、日本は尖閣列島問題を抱えている。実際、中国は尖閣列島のすぐ近くで大々的に海底資源を採掘している。二年前の二〇〇四年一二月には中国の潜水艦が日本の領海を侵犯して地形を探査し、日本側の反応も探るという事件が起こっている。中国の海底調査船が常に日本近海の海底を調査していることも周知のことだ。

     中国がなぜこのような行動をとるのかといえば、将来起こる領土紛争に備えてのことである。台湾に関しては、中国と南沙諸島と西沙諸島をめぐって領土紛争が起こる可能性が非常に高い。

     二番目の「資源の争奪戦」は今後ますます熾烈になる。石油、鉄鋼、木材など、中国の経済発展に伴う需要の大幅増加が予測され、熾烈を極めることになる。中国はすでに一九九三年から石油輸入国となり、二〇〇三年にはその消費量が二・五億トンにのぼって世界のエネルギー消費量の三四パーセントを占め、日本を抜いて世界第二位の石油消費国となっている。二〇〇四年にはその消費量は三億トンにも上っている。しかし、中国の国内総生産(GDP)はまだ世界の四パーセントにすぎないのである。

     もし中国が今までと同じように一〇パーセント近い経済成長率をつづけていくと、中国一国で使う石油資源は世界の全資源を使ったとしても足りなくなるほどで、すでに二〇二〇年には六億トンに達するのではないかと予測されている。だが、中国の資源効率は日本の一〇分の一にすぎない。このような大量の石油資源を必要とする中国経済のあり方には省エネ型の経済体制の確立などを求める声があがっているが、中国はそれを無視するように世界各地で石油を買い漁りつづけているのである。いずれ近いうちに世界的な問題となるであろう。

     また、水資源の問題も深刻となる。やはり争奪戦が激しくなる。
     中国は現在、電力消費用と灌漑用にダムを乱造している。ダムは揚子江に造った三峡ダムだけではない。雲南省や江西省でも盛んに造っている。しかし、雲南省のダムの下流にはベトナムがありミャンマーがある。中国人は上流を堰き止めてダムを造り、自分たちのために使う。そうなると、ベトナムやミャンマーでは、これまでのように水を使えなくなる可能性もありうる。自己中心的な中国のことだから、そうした各国の懸念などまるで考えていないに違いない。しかし、だからと言って、ベトナム人やミャンマー人が水を飲まなくてもいいということにはならない。中国の対応が注目される所以だ。

     三番目の「環境汚染」も、深刻な問題となる。

     すでに、中国大陸からの「黄砂」は日本の国土の半分まで覆っている。周知のように黄砂とは、中国大陸の砂漠などで強風に巻き上げられた砂が飛来し、空が黄色くかすんだように見える現象をさすが、長崎県などでは二酸化硫黄、窒素酸化物、オキシダント、浮遊粒子状物質などの大気汚染物質が測定されている。浮遊粒子状物質は環境基準の二倍にも上るという。

     また、二〇〇五(平成一七)年の年末に発生したベンゼン流出事件は未だ記憶に新しい。これは一二月一三日、中国吉林省にある石油化学工場が爆発し、有害物質のベンゼンが同省の松花江に流れ出た事件で、結局、下流に位置するロシアのアムール川まで汚染されるという大事件となった。このように中国の環境汚染は世界レベルで影響を及ぼしている。

     さらに、二〇〇六年二月三日付の「産経新聞」は、中国が海に垂れ流す排水と有害赤潮について、次のように報道している。


     黄海や東シナ海に流れ込む中国の排水の八四%が基準値を超える汚染水であることが、二〇〇五年中国海洋環境質量公報で明らかにされた。赤潮発生数もこの五年で四百五十三回に達し、汚染による「有害赤潮」の発生は昨年三十八回に及んでいる。二日の国営新華社通信は中国海湾の「生態系健康状態」について、「悪化がさらに激化」と警告している。(中略)

     中国の海洋汚染は近隣国にも及ぶことが懸念され、日本近海で問題になっているエチゼンクラゲの大量発生とも関連性が指摘されている。魚介類の汚染を通じた人の健康への影響も心配されており、昨年中ごろから中国科学院海洋研究所の魚類専門家が中国紙上で「近海魚は毎日食べてはいけない」と警告するなど、切実な問題としてクローズアップされている。

     産経新聞の指摘のように、日本の漁業にも影響を及ぼし、水産庁によれば、二〇〇五年九月から一二月まで、エチゼンクラゲの大量発生で漁獲量が減ったり漁具が壊れたりする被害は全国で延べ約一〇万一〇〇〇件にのぼっているという。島根県浜田市では浜田漁港に水揚げされるノドグロ(アカムツ。山陰地方の呼び名)が、大量発生したエチゼンクラゲの影響により、海域に魚はいるものの網を入れられない状態で、最盛期となる八月から一〇月の水揚げ量は前年比八〇パーセント減の九トンだったそうだ(二〇〇五年一一月二五日付「山陰中央新報」)。

     環境汚染はこれだけでも深刻だが、さらにもう一つ問題がある。それが伝染病だ。二〇〇三年に発生した中国発の「SARS」の問題にしても、最近の「鳥インフルエンザ」問題にしても、発生源はほとんど中国なのである。

     このように、環境汚染問題も日本にとって他人事ではないことは明らかで、アジアで直視しなければならない大事な問題なのである。

     四番目は「犯罪の輸出」である。

     現在、日本では中国人の犯罪が多発している。いまだ記憶に新しいのは二〇〇四(平成一五)年六月、福岡市内で起こった中国人留学生による日本人一家四人を殺害するというおぞましい殺人事件だが、ピッキングによる盗みやカードの偽造などは日常茶飯事となっている。なにしろ、外国人犯罪の半数近くが中国人によるものなのだ。警察庁がまとめた『平成十六年警察白書』には、中国人による犯罪を特記して次のように記している。

     平成十五年中の来日外国人犯罪の検挙状況を国籍・地域別にみると、中国(台湾、香港等を除く)が検挙件数(一万六千七百八件)、検挙人員(八千九百九十六件)ともに際立って多く、過去十年間で、それぞれ二・八倍、二・三倍に増加した。また、検挙した来日外国人犯罪全体に占める割合は、それぞれ四一・一%、四五・〇%となっている。

     この数字は、平成一四年の検挙件数一万二六六七件(三六・五%)、検挙人員六四八七人(四〇・〇%)を大幅に更新しており、他国に比べて突出している。

     このような中国による「犯罪の輸出」は台湾にも及び、日本と同じ悩みを抱えている。しかし、言葉が似通っているだけに台湾の方が始末に悪いのである。

     最後は「経済秩序の崩壊」だが、中国は意図的に人民元を安くして、結果として資金が中国に流れ込み、日本も台湾も産業の空洞化が起こって苦しんでいる。一方、中国に進出した外国企業に対しては不当な圧力を加えている。

     たとえば、二〇〇〇年五月に起きた「東芝事件」である。アメリカで東芝のノート型パソコンに不具合が発生し、アメリカの消費者に莫大な和解金を支払って弁償したことがあった。すると、東芝のノート型パソコンを使っている中国人が「俺にも弁償しろ」と提訴して騒いだ事件のことだ。

     最近では、ソニーのデジタルカメラの使用説明書が中国の法令に合わないといって締め出そうとした動きが起こった。また、アサヒビール特別顧問の中條高徳氏の靖国参拝記事が気に入らないということで不買運動が起こされたことも、最近のことである。

     このような中国人の行動は、ルールに基づいた正常な経済活動からはかけ離れている。それゆえに、経済秩序を崩壊させる誘因となるのである。

    ●「東アジア共同体」構想は中国の「トロイの木馬」作戦

     中国がもたらすこのような危機を前にして、日本はアメリカとだけうまくやっていけばすべて乗り切れるのだろうか? 私はそうは思わない。なぜなら、この危機はアジアのなかで起こっていることであって、アメリカは安全保障の面では関与できても、アジア域内の二国間や多国間問題に関与することには限界があるからだ。六カ国協議の進展がはかばかしくないのも、同様の理由によるところが大きい。だから、日本はアメリカとさえうまくやっていけばよいというものではない。

     とくに中国は、アジアからアメリカの影響力を排除しようとして、外務省のチャイナスクールを巻き込んで「東アジア共同体」構想を推し進めている。これを中国の「トロイの木馬」作戦と呼んで差し支えないだろう。中国は明らかに東アジアの覇権を狙っており、この「東アジア共同体」構想もその一環であるが、これについては後述する。

     日本には親中派と呼ばれる中国寄りの存在があり、日本を解体しようとする勢力がある。この状況は台湾とよく似ている。台湾にも親中派が存在し、台湾を解体して中国と統一しようとする勢力がある。台湾も中国の「トロイの木馬」作戦で日本と同じように苦しんでいる。さらに、先に述べた「五つの危機」でも日本と同じく中国によって悩まされている。

     何よりも、台湾と日本は六〇年前までは同じ国だったのである。このような歴史的経緯からも、そして地理的な近さや、国民どうしの心理的距離の近さからも、アジアの危機に共闘して立ち向かうことができるのは、台湾と日本だけである。台湾と日本は民間交流だけではなく、政府間交流を拡大することで中国に対処すべきなのである。

     このアジアの危機を解決するためには、まず諸問題の元凶がすべて中国であることを正確に日本が認識する必要がある。これまでのように中国に遠慮する日本であれば、いつまで経っても問題は解決できない。暴力団に遠慮していたら暴力団を排除できないのと同じ理屈である。危機の問題点がどこにあるかを直視できれば、解決する道も見えてくるのである。

    ●アメリカに全面的に依存するのは危険だ

     そもそも、アメリカとの関係さえうまくいけば問題ない、とする考え方は非常に危険である。なぜなら、アメリカのアジアに対する関心はさほど高くないからだ。また、前述したアジアにおける環境破壊や犯罪の輸出などの入り組んだ問題について、やはりアメリカの関心は低い。それ以上に、国際社会の警察官を自任しているアメリカではあっても、国益を最優先する一国家であることに変わりはない。逆に言えば、国益と関わりがない事柄には関心を示さないのである。

     たとえば、二〇〇六年の一月二九日は旧暦の元日にあたり、台湾では「春節」として新年を迎えたが、この日、陳水扁総統は故郷の台南において「国家統一綱領」と「国家統一委員会」の廃止を検討すべきだと表明した。国家統一綱領とは、中国との統一を段階的に示したガイドラインであるが、一九九一年に国民党時代の李登輝総統が発表したものだ。

     この綱領の「前言」に「民主・自由・均富についてのコンセンサスを確立し、共同で統一された中国を再建すべきである」とあり、統一の前提として中国の民主化を謳っていることがポイントである。中国が台湾のような民主化を成し遂げるまでは数十年、否、百年単位で考えてもできるかどうかだ。要するに、体裁だけを取りつくろった見せかけのガイドラインなのである。

     そこで陳水扁は、実態とも、台湾住民の意向ともかけ離れているという理由で廃止の意向を表明したが、そのとたんにアメリカは猛反発し、国務省は「台湾は現状を壊す」として陳水扁を強い口調で非難したのだった。

     これからもわかるように、台湾はアメリカにさえついて行けば将来が開けるということではない。その点では日本も同様である。かつてアメリカはクリントン政権時代に、尖閣諸島は日米安保条約上の防衛義務を必ずしも負わないとする方針を表明したことがあった。のちにこの方針は修正されたものの、日米安保条約はこれまで一度も発動されたことはない。果たしてアメリカ兵は日本のために血を流すのかどうか、これは実際に発動されてみないとわからないことだ。

     このような点から考えると、やはり国益や危機への対処を共にできるのは運命共同体としての台湾と日本だろう。この両国が緊密に連携すれば、危機の根源となっている中国に対抗できるのである。アジアの平和秩序を賭けた中国との戦いを勝ち抜くには、これが最善の道だと確信している。

    (次の連載10月6日)

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