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  • 2007年10月13日土曜日

    「台湾の声」【正論】日中国交正常化35年 

    【正論】日中国交正常化35年 

    産経新聞 2007.10.9

                帝塚山大学名誉教授・伊原吉之助

     □日本の"秀才外交"の大失敗

     ■中国の土俵に乗り、台湾を見捨てる

     ≪対中平和条約の複雑さ≫

     日本は蒋介石政権と戦い、蒋政権を一員とする連合国に降伏した。従って対中平和条約は蒋政権と結べば足りたはずだが、その段階で大陸に中共政権が成立しており、台湾の蒋政権と正統性を争っていた。冷戦構造の中で、日本に中華人民共和国と平和条約を結ぶ選択肢はなかった。だから日本はサンフランシスコ講和条約のあと、台湾の中華民国と日華平和条約を結んで「中国との戦争」に決着をつけた。

     ただし、日華平和条約の適用範囲は「中華民国政府の支配下に現にあり、又は今後入るすべての領域」(交換公文)に限定された。だから中華人民共和国との国交や平和条約締結が懸案として残ったのである。

     その機会がニクソン訪中で巡ってきた。だが東西冷戦を背景に「一中を争う二中」の双方と国交を結ぶのは至難の業であった。

     日本外交には、戦前戦後を通じて一大欠点がある。原則がなく、相手の原則に振り回されるのである。昭和16年の日米交渉で門戸開放・善隣友好・主権領土尊重の原則を出す米外交に「特殊権益」で対抗した日本がどれだけ振り回されたことか。

     日中国交交渉でも中国は「復交三原則」を持ち出した。中華人民共和国政府は中国を代表する唯一の合法政府▽台湾はその不可分の領土▽日華平和条約は不法・無効−である。

     ここで日本外交は健闘した。第1項は承認、第2項は「理解し尊重する」が承認せず。第3項では日華条約有効論を貫いた。

     ≪日本外交の誤認と拙速≫

     問題はこの先である。日本側は状況誤認と拙速で、台湾切り捨ての汚名を残すのである。

     誤認の第1。ニクソン訪中の意味を読み誤る。敗戦後、日本人は経済一辺倒となり、各国の行動も経済動機でしか判断しなくなった。ニクソン訪中は中ソ対立に乗じて中国と結び、ソ連を牽制(けんせい)するのが目的である。それを「米国が中国市場に目をつけた」と読み、財界が「バスに乗り遅れるな」と逸(はや)った。

     日本の世論は日中国交に賛成だが、中華民国とも国交継続を望んでいた。それを財界は「中国市場は大きいから、台湾を切ってでも中国と国交せよ」と政治家に迫った。中国の意向に沿え、というのだ。

     中国が台湾との断交を迫るなら、せめて一度は破談にして帰国すれば良かった。これで日本は信義に厚い国という実績が残せた。

     誤認の第2。中国の内情を察知せず。中ソ対立が高じてソ連の核先制攻撃の危機に曝されていたから「敵の敵」の西側との連携が焦眉の急だった。こういう相手の実情を把握しなかったため「中国に国交をお願いする」形になった。

     秀才外交は物分かりが良すぎて粘りが足りない。「中国と国交を結ぶには、台湾と断交するほかない」と先回りして考え、道義を捨てた。そうであっても「新しい友を作るため古い友を捨てはしない」と言い続け、断交は相手にさすべきだった。

     「中国は一つ」は中国と蒋政権の立場である。日本は「どの国とも友好を貫く」と言い続ければ良かった。

     ≪台湾にも「友好」貫け≫

     清朝は台湾を「化外の地」としていた。中華民国も中華人民共和国も建国時に台湾は日本領だったから、請求根拠を持たない。カイロでルーズベルト大統領と蒋介石総統の間で台湾領有の口約束ができたのは蒋総統に対日戦を継続させるためだった。1945年10月の台湾占領は講和条約までの管理を委ねただけだからサンフランシスコ講和条約でも日華平和条約でも、日本は台湾・澎湖諸島の「すべての権利、権原及び請求権を放棄」したが、帰属先を明示しなかった。明示できなかったのである。

     こういう土地は、大西洋憲章でも国連憲章でも、世界人権宣言でも、住民の自決で前途が決まる。

     台湾では、蒋家外来政権のあと、台湾人・李登輝が国民党独裁を「台湾住民による、台湾住民のための台湾統治」に変えた。台湾は自由民主国に生まれ変り、「一中」争いから離脱したのである。

     米国がこの新事態を無視して冷戦期の「一中」政策を墨守しているのは奇怪というほかない。自由民主国の台湾を国際的村八分扱いしているのは、21世紀の世の中にあるまじき不祥事である。

     日本政府が憲法前文にいうように「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」のなら、この事態の改善に努力する義務がある。(いはら きちのすけ)

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