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  • 2007年10月8日月曜日

    「台湾の声」【論説】台湾の国際的地位:アメリカの本音

    【論説】台湾の国際的地位:アメリカの本音

              アンディ チャン

    アメリカ国家安全会議東亜事務局の上級主任デニス・ワイルダー (Mr. Dennis Wilder, Senior Director for East Asian Affairs, National Security Council)は過日、「台湾も、中華民国でも、現 時点では国際社会で国家とは認められていない (Taiwan, or Republic of China, is not at this point a state in the international community.)」と発言したが、その際に続けて「中 華民国は未決の議題である、しかもこれは非常に長いあいだ未決と なっていた議題である(Republic of China is an undecided, and it has been left undecided, as you know, for many, many years.)」 と付け加えた。

    この発言について国民党の馬英九は慌てて「中華民国は国である。 少なくとも24ヶ国が認めている。中華民国の国名を変更すればもっ と大きな困難が生じる」と反論した。

    ●台湾独立派の興奮

    ワイルダーと馬英九の発言について台湾独立派は大いに意気が盛り 上がった。ある人は「台湾が国ではないことは国際上では常識だが、 米国が中華民国を国として認めないと言い、更にこれを未決問題と 提議したことはこれまで中華民国の国名を擁護する側にとっては一 大打撃であった」と言う。

    台湾独立を推進する人々にはいろいろな理論があるが、いずれも中 華民国を破棄して台湾国を創る目標は同じである。しかし現状では 政府、制度は相変わらず中華民国で、正名制憲はどの学派も中華民 国を打破する点で迷っているのが実情である。アメリカが明確に中 華民国は国ではないと声明したので正名制憲の助けになる、中華民 国を破棄してこそ始めて国際間で正式に台湾国が認められる。

    つまりワイルダーの発言は、台湾に存在する現政府がどんな名義を 使っていても、そして将来どんな努力をしても、「中華民国に後戻り」 することは出来ないという明確な表示だと言える。

    ●中華民国は政府であるが、国ではない

    「カイロ宣言」はプレスリリースに過ぎないので台湾を中国に返還 する根拠とするには国際法上効果がない。国際法によると、1951 年のサンフランシスコ条約(SFPT)によって日本が台湾に対する 主権を(中国に「返還」ではなく)「放棄」することが決定された。 つまり日本が台湾澎湖の権原を「放棄」したことはSFPTの参加国 によって「承認」されたものであり、台湾澎湖の国際的地位は「未定」 である。この地位を確定するには、すべてのSFPT参加国の承認が 必要である。

    SFPTでは台湾を中国に「返還した」と書いていない、中国が台湾 は中国領土と主張しても国際的に認められない。台湾の地位が未定 であることは台湾人民に自決権があることで、台湾の地位が未定で あるとしたWilder氏の指摘は正しい。しかし住民自決を否定する 権利はアメリカにも世界のどの国にもない。

    国際法の専門家は「国際法から見て台湾は国家の制度がある。領土、 人民、政府が現実に存在していればそれは国家(De Facto Nation) である」と言う。しかし、現在の国家制度は「中華民国政府」であっ て「台湾国」ではない。「台湾」と「中華民国」は同じではないから、独 立でも統一でも、台湾の住民が国名を決議し、条約の参加諸国が承 認がそれを承認して初めて国際的に国家(De Jure Nation)として 認められるのである。

    大切なことは、SFPTでは「中華民国が台湾を領有した」と認めて いないので、中華民国は台湾を領有した事実はない。しかし、今の 台湾では中華民国政府が存在していても台湾国政府は存在しない。 中華民国から台湾に「脱皮する」のは難しく、自決権を有する台湾 人民が中華民国を棄てて台湾国を確立するのが正しい。台湾ではこ の点を曖昧に考えている人も多く、民進党の政府では中華民国の制 度を維持しながら国名を変えると主張している。

    ●既独立型と未独立型の台湾独立論

    今の台湾では大別して六つの独立論があると言われている。これを また「既独立」型と「未独立」型に分かれる。

    「既独立型」には「沈建徳の当然独立説:台湾はSFPTと国連憲章に よれば既に独立した国家である」;「彭明敏の独立状態説:政府はあ るが国名が決まっていない状態である」;「陳隆志の進化型説:民主 制度が有効に作動しているから国名変更で独立に進む」の三つがあ るが、いずれも国家の制度がある、しかし国名が決まっていない。

    「未独立型」では「林志昇・ハーゼルの米国暫定領土説:戦後の領 土処理が終わっていない」;「国民党系の主権は中国説:誰も反対し ない」;それに「台聯党の独立過程説:中華民国は認めない、住民投 票で国名を決める」の三種類である。

    これらの独立論はみな中華民国は既に存在しないことと、住民投票、 正名、制憲が必要条件であると主張していることで、大同小異と言 える。主権は中国にあるという国民党の主張は国際的に認められな いから無効力である。

    ●国連加盟は夢物語である

    この中で民進党の推進する「台湾名義で国連加盟」運動は最も無意 味で子供だましにすぎない。民進党はいまでも中華民国の国名を棄 てる気がない。国際的に認められない国名を保持しながら、台湾の 名義で国連加盟が成功すれば国名を変更する、とは国連に名前を変 えてくれるよう「願掛け」をする他力本願である。つまり台湾名義 で国連加盟ができるなら名前を変える、それ以前はやらないという。 国連の会議で台湾の加盟を討論するときは、台湾が中華民国である なら、中国がすでにRepublic of Chinaで国連参加しているので、 同じ名前を使えない、同じ名前でなく台湾で加盟と主張しても、事 実上は同じで、陳水扁の国連加盟は根本的に出来ない相談である。 国名を変更しなければ国連加盟は出来ないのに、民進党はその逆に 国連が認めてくれれば正名制憲ができると幼稚な夢を見ている。

    台湾の国名が決まってから始めて国連加盟が可能であり、国名を決 めるには住民投票が必要である。住民投票で国名が決まらなければ 何も出来ない。

    謝長廷がいくら和解共生を主張しても国民党、統一派が中華民国の 国名変更に同意するとは思えない。だから和解共生で人を騙すよう な言論をやめてハッキリと打倒中華民国、台湾建国を主張すべきで ある。謝長廷派がそれをしないから台湾は混迷しているのだ。

    また、国際標準機構(ISO)では台湾の国名表記は Republic of China だったが、1993年より「略号をTW、正式名をTaiwan, Province of China とした。台湾は数年来ISOに抗議してきたが、 今年の7月21日になって台湾政府はジュネーブで国名訂正を提訴 した。台湾の名前を「中華民国Republic of China」に戻せと法律 に訴えたのだ。ISOは産業界では影響が大きく、座視できない問題 だが、民進党はISOでは中華民国で通す、国連では台湾名義を通す という自己矛盾を犯している。

    民進党の政府は台湾なのか、それとも中華民国なのか?国連では台 湾名義で国連加盟を申請し、ISOでは中華民国を使用するという。 自分の国名も言えない「台湾=中華民国」では諸国が承認しないの は明白である。

    ●林志昇の暫定米国領土論は正しい

    ここでワイルダーの発言をみると、台湾問題、または中華民国問題 は未決である。つまり米国は台湾問題を未決であるとしている、し かもこの問題を長い年月の間未決で通してきたのである。この発言 では台湾問題についてアメリカの戦後処理は未だに終わっていない から、林志昇・ハーゼルの主張したように、台湾の未処理領土の権 利は「主要占領国Primary Occupying Powerである米国」が握って いるということだ。つまり林志昇の主張がワイルダー発言で間接的 に認められたといことで、大きな意味を持つ。

    これまで林志昇氏は台湾の国際的地位はアメリカの暫定領土の処理 が終わっていないと主張してきたが、台湾ではいろいろな人が林志 昇はアメリカ人になりたいのか、主権は台湾人にある、米国人に渡 すななどと批判してきた。しかし彼らの批判はワイルダーの発言で 完全に否定されたのである。

    ●「アメリカの本音」で責任を明確にさせる

    私は今回のワイルダー氏の発言を非常に重くみて、これが「アメリ カの本音」だと思っている。つまりアメリカは台湾は中国の領土で はないことを認めた、中国が台湾と統一する事にも反対であること を表明した、そして台湾問題は長年のあいだ未解決だったが、いず れは解決すべきで、この時に中国に併呑されるのは反対であると示 唆しているのだ。

    台湾人の中にはワイルダー発言の持つ「アメリカの本音」をまだハ ッキリ認識していないものが多い。

    台湾人は独立理論を打ち立てる際に「台湾人の自決権」、「中華民国 から独立」などを主張して、国際観に欠けた論争しかやっていない。 もちろん、台湾の地位を決めるのは台湾人で、住民自決の権利は台 湾人の手にある。

    しかし台湾の国際的地位は米国が戦後から今まで放置して、いまで も未処理であることは明白である。台湾人の独立運動はこれまで一 貫して「われわれの手で独立を勝ち取る」という勇ましいものだが、 国際的立場から見れば米国が台湾の国際的地位を決める権利がある、 未決のことを何時かは決めるべきであることに些かの疑いはない。

    その上、アメリカが台湾の地位について決定的な権利(と言わなく ても影響力)を持っていることは世界各国の認めるところであり、 独立運動の諸氏がアメリカに刃向かう態度をとるのは愚劣である。

    いかに台湾人が勇ましく独立を叫んでもアメリカなしに台湾独立は 成立しない。それなのに多くの独立志士が米国を批判し、林志昇の 主張を批判している。打倒中華民国と正名制憲で多数の理論が争い あってコップの中の嵐を作っているが、悲しいことに彼らには国際 観が欠如しているとしか思えない。

    私は一般の台湾人がアメリカに敵対したり怒ったりするより、今回 のワイルダー氏の発言は台湾に大きな援助となっている事に注意し たい。

    ワイルダー氏はアメリカを代表して「台湾の国際的地位は未定であ る。台湾は中華民国の領土ではない、中国の領土でもない。しかも (アメリカは)長年この問題を放置してきた」と認めたのである。 この「アメリカの本音」を利用しないのはバカだ。

    アメリカが長年未決にして、曖昧な政策を維持してきたことが政府 の要員が認めたのである。台湾政府、台湾人民はこの機会にアメリ カに向けて「台湾問題は台湾人に自決権がある」事を承認させ、台 湾が中国の圧力や束縛から解放されることに援助してくれるよう、 「国際的な呼びかけ」でアメリカが曖昧政策を続けることが出来な いように約束させる、これが最良の道である。

    台湾の声:http://www.emaga.com/info/3407.html

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