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  • 2007年10月2日火曜日

    「台湾の声」【国家防衛】束縛だらけの“抑止”行動

    【国家防衛】束縛だらけの"抑止"行動

    産経新聞・2007年9月29日

    わが国固有の領土である尖閣諸島について、中国は1992年、領海法で自国領土と明記した

     束縛だらけの"抑止"行動

     おかしなことをすれば、痛い目に遭うと相手に思わせる抑止力が防衛の大原則だ。それが日本では大きく揺らいでいる。

     経済産業省は一昨年夏、防衛産業各社から新たな装備品に関するヒアリングを行った。ある関係者は「東シナ海などの浅い海域で使用できる魚雷を開発したい」と述べたところ、担当官は突然、「大国になりつつある中国を脅威とみているのか」と激高した。「万一に備える防波堤は必要でしょう」と反論し、結局は来年度から研究開発することが決まったが、その関係者は、国を守る意識のない人が防衛力整備を担当していることに愕然(がくぜん)としたという。

     国全体に弛緩(しかん)がみえるが、日本が抑止行動をとって外国による領空侵犯を未然に防止したことがある。

     1996年10月7日、台湾、香港などの活動家は漁船で、日本固有の領土である尖閣諸島海域に侵入し、うち4人が魚釣島に中国と台湾の国旗を立てた。少し前には香港の活動家が近くで水死した。これらに刺激された台湾空軍の元将校らは、2機のヘリコプターで尖閣に侵入して上陸する計画をぶちあげた。

     那覇市に司令部がある航空自衛隊南西航空混成団の佐藤守司令(空将)はこれを知るや、領空侵犯を阻止するため、警戒行動を取ることにした。

     F4ファントム戦闘機で常時、尖閣周辺空域をパトロールさせるには早期警戒管制機E2Cが不可欠だ。E2C5機は非常呼集され、青森県三沢基地から飛来した。19日、F4とE2C延べ29機が飛び立った。

     佐藤司令は中国もにらんでいた。上空6000メートルで待機するE2Cを中国空軍がレーダーでとらえることを確信していた。日本の空の守りが鉄壁と示すチャンスでもあった。

     警戒行動は10日間にわたり、台北管制部が那覇管制部に対し「F4は何をしているのか」と問い詰める一幕もあった。台湾行政院はヘリによる尖閣上空飛行を許可しないと発表した。

     だが、佐藤司令に高揚感はなかった。ヘリが実際に侵入した場合、阻止できたかとなると内情は危うかったからだ。上部機関の航空総隊の指示は「武器は一切使うな」「ヘリに近づきすぎるな」だった。

     対領空侵犯措置とは、領空侵犯した航空機に対し、緊急発進した戦闘機が、着陸か退去させるために必要な措置を取ることだ。場合によっては侵犯機の進路を妨害したり、前方に曳光(えいこう)弾を撃つなどしなければならない。それが許されないのでは必要な任務は遂行できない。無防備は犠牲者すら出かねない。

     「警告射撃するなとはどういうことか」。佐藤司令が声を荒らげると、総隊は首相官邸の意向と説明したという。当時の橋本龍太郎首相は7月に靖国神社を参拝し、中国から猛烈な抗議を受けていた。

     結局、佐藤司令は航空幕僚長と粛々と行うことを確認し、規定通りの措置を取ったものの、主権侵害行為阻止という当たり前の行動を実施することがいかに難しいかを痛感した。

     「毅然(きぜん)とした対応をしなければ、不法な侵害を逆に呼び込んでしまいかねない」。退官した佐藤氏は、抑止力という国の心棒の重要性を訴え続けている。

                       ◇

     ■無力さは見透かされていた

     北朝鮮工作員による拉致事件も、日本の抑止力が機能していないことを見透かされたことが大きい。

     本紙ソウル支局の久保田るり子特派員が北朝鮮の幹部工作員だった金東赫氏を取材、編集した「金日成の秘密教示」(2004年発行)によると、金日成は「日本は迂回(うかい)工作を拡大することのできる『黄金の漁場』なのだ」(1983年、対南工作員らとの談話)と、日本の弱さをつく工作を求めた。

     以下は1969年、三号庁舎拡大幹部会議での教示である。

     「興味深い対象国は日本だ。日本は過去36年間、わが国を植民地として支配し略奪した罪のため、わが共和国に対して力を行使できない」

     「日本は国内法上、スパイ防止法や反国家行為に対する法的・制度的規制措置がない。日本を舞台に活動して発見されても外国人登録法や出入国管理法違反などの軽い処罰にしかならない」

     「必要なら日本人を包摂工作し拉致工作もすることができるのだ」

     金日成が「力を行使できない」と見た通り、自衛隊は領土や領海を不法に侵害する行為を排除する規定をもっていない。

     外国の武装部隊の不法行為を排除する強制措置は、国際法上、正規の武装部隊が受け持つのが世界の常識だが、日本だけが違うのである。

     排除規定があるのは領空侵犯だけだ。自衛隊法84条に基づく対領空侵犯措置は、侵犯機に対し、着陸や退去のための「必要な措置」を講じるとしているが、肝心の武器使用基準はあいまいだ。

     これは本格的な武力行使となる防衛出動以外の武器使用は、相手の攻撃の程度に応じた反撃しか許されない「警察比例の原則」が適用されているからだ。パイロットが武器を使用できるのは正当防衛・緊急避難に限られる。相手の攻撃を待って、対処するしかないことが、いかに過重な負担を最前線の隊員に強いていることか。

     このことを自衛隊員は身にしみて感じているからこそ、相手につけこまれないような精強な組織を作り上げるのだという。

     陸上自衛隊イラク復興支援群長だった、番匠幸一郎陸将補(幹部候補生学校長)は帰国した直後の2004年夏、こう語った。

     「自分たちが脇をしっかり締めて、われわれを襲ったら痛い目に遭うぞ、という構えをしっかりみせることが重要だという態度で臨んだ」

     こうした奇っ怪な防衛の現実を見直すべきだとする超党派の「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」(武見敬三代表世話人)は2001年末に設立されて以来、専守防衛の考え方の再構築や安全保障法制の再検討が急務だ、などと訴えてきた。

     民主党内でも、細野豪志、長島昭久両氏によって、「武器使用基準をめぐっては任務防護を含む『マイナー自衛権』(注)を認め、国際基準に合わせるよう政府解釈を変更すべきだ」とする報告が、2004年12月の領土及び海洋権益プロジェクトチームで了承された。

     ただこれらは問題提起にとどまっている。日本の領土、領海、領空を守るための実効的な法整備は据え置かれたままだ。抑止力が機能しているかどうかを試される事態は悪夢であることを、日本人は拉致事件で気が付いたのではなかったか。(中静敬一郎)

                       ◇

    【用語解説】マイナー自衛権

     部隊などが任務遂行にあたって行使する自衛権。「部隊自衛」ともいわれ、国際社会が認める平時の自衛の概念である。

    台湾の声:http://www.emaga.com/info/3407.html

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